林材業労働災害防止計画(5ヵ年計画)

  1. はじめに

     林業・木材製造業労働災害防止協会(以下「協会」という。)は、これまで関係行政機関の指導の下、国の「労働災害防止計画」を基本とした「林材業労働災害防止計画(5カ年計画)」を定め、計画目標達成に向けた重点的労働災害防止対策に取り組んできた。その結果、林業及び木材製造業(以下「林材業」という。)における労働災害は大幅に減少してきた。
     しかしながら、林材業における労働災害発生率は、依然として他産業に比べて著しく高い状況が続いている。また、本来遵守すべき安全確保のための基本的な作業手順を励行していないことに起因する労働災害が多く発生しており、同種作業、類似災害の発生を繰り返すなどの傾向も顕著である。
     林業においては、これまでも災害発生状況に即応した各種の災害防止対策の取組を進めてきたところであるが、いまだに伐木作業中に発生した死亡災害が全体の7割程度を占めていることから、伐木作業の対策について抜本的に見直していくことが必要な状況となっている。
    一方で、林材業を取り巻く状況を見ると、国では、森林・林業基本計画(平成28年5月24日閣議決定)において、平成37年(2025年)における国産材と輸入材を併せた総需要量を79百万m3(立方メートル)と見通したうえで、国産材の供給量及び利用量の目標として、平成26年(2014年)の実績の約1.7倍にあたる40百万m3(立方メートル)を目指すこととして、木材自給率は平成26年度以降、上昇基調が続いている。加えて、森林吸収源対策に係る森林環境税(仮称)に先がけて森林環境譲与税(仮称)の借入が2019年度(平成31年度)から実施(平成30年度税制改正の大綱・平成29年12月22日閣議決定)されることに伴い、間伐等の促進など森林環境整備に向けた林材業の業務がさらに活性化していくことや、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機とする新たな木材利用の創出が推進されていくことも予想される。
     このような中、主伐期を迎えた人工林の伐採が本格化するに伴い重篤災害の増加が懸念されるとともに、若年の新規雇用労働者の増加、他産業からの未熟練労働者の参入、また、少子化とあいまった高年齢労働者の増加などが見込まれ、これらを要因とした労働災害発生リスクの増大も懸念されるところである。

     このような状況を踏まえ、林材業で働く人々の安全と健康の確保の実現に向け、国が策定した「第13次労働災害防止計画」(以下「13次防」という。)を基本とし、2018年度を初年度として、5年間に協会が取り組むべき方向と対策を示した「林材業労働災害防止計画(5カ年計画・2018年度〜2022年度)」を策定することとする。

  1. 計画のねらい

     林材業に働く人々の安全と健康はかけがえのないものであり、何にもまして尊重すべきものであることを胸に刻み、それぞれの事業場において一人の被災者も出さないという基本理念の下、事業者、労働者をはじめ関係者が一体となり、積極的に安全衛生水準の向上に努めていくこととする。
     また、これらの取組について、協会組織が一丸となって、関係行政機関、関係団体等と密接な連携を図りつつ推進していくこととする。

    1. (1)計画期間
       2018年度から2022年度までの5か年を計画期間とする。
    2. (2)計画の目標
       究極的な目標である「労働災害をゼロにすること」の実現のために、労働災害の防止、労働者の健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進を図り、林材業の安全衛生水準の向上を期すため、以下の目標を計画期間中に達成することを目指す。
      1. ア 死亡災害
         死亡災害については、ひとたび発生すれば取り返しがつかない災害であることを踏まえ、林材業における労働災害による死亡労働災害を、2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。
         このため、2022年において39人(林業34人、木材製造業5人)を下回ることを目指す。
      2. イ 死傷災害(休業4日以上。以下同じ。)
         林業及び木材製造業における死傷災害を、2017年と比較して、2022年までにそれぞれ5%以上減少させる。
    3. (3)計画の評価と見直し
       効果的な取組が着実に実施されるよう、関係法令や林材業に関連するガイドラインの改正の状況等を踏まえ、必要に応じ計画を見直す。
  2. 労働災害発生状況と課題

    1. (1)死亡災害及び死傷災害の発生状況
       協会は、国の第12次労働災害防止計画を基本とし、平成25年度を初年度として、同29年度を目標年度とする5カ年計画を定め、死亡災害及び死傷災害それぞれの計画目標を目指し、協会組織一丸となって各年の事業に取り組んできたが、「死亡災害の撲滅を目指し、林材業における労働災害による死亡者の数が、平成29年において36人(林業31人、木材製造業5人)を下回ること」とした死亡災害は、同29年は林業が40人、木材製造業が6人の計46人であり、林業の死亡災害は目標の達成に至らなかった(表1)。
       また、「平成24年と比較して、平成29年までに林材業における労働災害による休業4日以上の死傷者の数を、15%以上減少させること」とした死傷災害は、同29年において林業は1,314人で同24年と比べ30.7%減少した。同様に、木材製造業は、同29年1,191人で同24年と比べ17.2%減少した(表2)。

    《表1》死亡者数の推移

    業種 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    平成
    29年
    災害増減率
    林業 37人 39人 42人 38人 41人 40人 8.1%
    木材製造業 6人 16人 11人 7人 9人 6人 0.0%

    資料出所:厚生労働省「死亡災害報告」
    注 平成29年の数値は確定値で、増減率は平成24年と比較した同29年との増減率である。

    《表2》死傷者数の推移

    業種 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    平成
    29年
    災害増減率
    林業 1,897人 1,723人 1,611人 1,619人 1,561人 1,314人 -30.7%
    木材製造業 1,438人 1,365人 1,350人 1,233人 1,206人 1,191人 -17.2%

    資料出所:厚生労働省「労働者死傷病報告」
    注 平成29年の数値は確定値で、増減率は平成24年と比較した同29年との増減率である。

     また、林業、木材製造業の発生率の状況(休業4日以上、平成28年値)を見ると、林業については、度数率は全産業の9倍、強度率は同24倍、死傷年千人率は同14倍となっており、また、木材製造業については、強度率は改善しているものの、度数率は全産業の2倍、死傷年千人率は同5倍であり、林業、木材製造業ともに他産業に比べて依然として高い状況が続いている。とりわけ林業については、度数率、強度率、死傷年千人率ともに突出して高く、労働災害の発生割合、発生頻度、災害の重さがいずれも深刻な状況にある(表3)。

    《表3》産業別 度数率・強度率・死傷年千人率の推移

    災害発生率 業種 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    度数率
    (30〜99人規模)
    林業 27.84 24.99 24.39 26.18 26.17
    木材製造業 6.54 8.48 7.33 5.37 6.10
    (製造業) 2.58 2.53 2.74 2.45 3.00
    全産業 2.74 2.87 3.01 2.90 2.91
    強度率
    (30〜99人規模)
    林業 6.48 12.36 4.72 3.97 4.30
    木材製造業 0.80 0.92 0.14 0.14 0.10
    (製造業) 0.23 0.24 0.21 0.20 0.22
    全産業 0.25 0.21 0.20 0.17 0.18
    死傷年千人率 林業 31.6 28.7 26.9 27.0 31.2
    木材製造業 13.1 11.4 12.3 11.2 11.0
    (製造業) 3.0 2.8 2.9 2.8 2.7
    全産業 2.3 2.3 2.3 2.2 2.2

    資料出所:厚生労働省「労働災害動向調査」
    注1 年千人率とは、1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合を示したもの。
    注2 度数率とは、100万延労働時間当たりの死傷者数で労働災害の頻度を示したもの。
    注3 強度率とは、1,000延労働時間当たりの労働損失日数で労働災害の重さの程度を示したもの。

    1. (2)林材業における労働災害発生状況と課題
      1. ア 林材業共通
         林業、木材製造業の事業場規模別の労働災害発生状況を見ると、林業については、30人未満の事業場が78.0%を占め、なかでも10人未満の事業場は49.1%となっている。木材製造業については、30人未満の事業場が68.7%を占め、10人未満の事業場は33.9%となっており、全産業や製造業と比べると10人未満の事業場における労働災害の発生割合が高い(表4〜5)。
         10人未満の事業場では、安全衛生推進者を選任する義務がないことから、事業者が自らその業務を行う必要があり、これらの事業場においては事業者の安全衛生管理に対する認識が希薄であり、安全衛生管理に必要な業務が十分に果たされていない状況があることが、発生率の割合が他産業に比べ著しく高い要因の一つと考えられる。

    《表4》林業における事業場規模別死傷者数の推移 (人)

    規模 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    合計 割合
    300人以上
    (全産業)

    (9,356)

    (9,016)
    1
    (9,474)
    1
    (9,083)
    1
    (9,657)
    3
    (46,586)
    0.0%
    (7.9%)
    100〜299人
    (全産業)
    42
    (17,399)
    26
    (17,642)
    30
    (17,918)
    26
    (17,822)
    31
    (18,349)
    155
    (89,130)
    1.8%
    (15.1%)
    50〜99人
    (全産業)
    201
    (16,294)
    154
    (16,267)
    109
    (16,239)
    133
    (16,231)
    115
    (16,647)
    712
    (81,678)
    8.5%
    (13.8%)
    30〜49人
    (全産業)
    206
    (16,777)
    190
    (16,705)
    199
    (17,059)
    223
    (16,903)
    170
    (17,213)
    988
    (84,657)
    11.7%
    (14.3%)
    10〜29人
    (全産業)
    528
    (31,454)
    490
    (31,225)
    451
    (31,638)
    472
    (30,602)
    486
    (30,938)
    2,427
    (155,857)
    28.9%
    (26.3%)
    9人以下
    (全産業)
    920
    (28,296)
    863
    (27,302)
    821
    (27,207)
    764
    (25,670)
    758
    (25,106)
    4,126
    (133,581)
    49.1%
    (22.6%)
    林業計
    (全産業計)
    1,897
    (119,576)
    1,723
    (118,157)
    1,611
    (119,535)
    1,619
    (116,311)
    1,561
    (117,910)
    8,411
    (591,489)
     

    資料出所:厚生労働省「労働者死傷病報告」

    《表5》木材製造業における事業場規模別死傷者数の推移 (人)

    規模 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    合計 割合
    300人以上
    (製造業)
    8
    (2,499)
    11
    (2,385)
    5
    (2,587)
    3
    (2,397)
    14
    (2,592)
    41
    (12,460)
    0.6%
    (9,2%)
    100〜299人
    (製造業)
    107
    (4,510)
    112
    (4,421)
    84
    (4,500)
    104
    (4,543)
    88
    (4,691)
    495
    (22,665)
    7.5%
    (16.7%)
    50〜99人
    (製造業)
    141
    (4,110)
    110
    (3,943)
    118
    (3,991)
    111
    (3,842)
    121
    (4,027)
    601
    (19,913)
    9.1%
    (14.7%)
    30〜49人
    (製造業)
    178
    (4,117)
    203
    (4,017)
    202
    (4,053)
    163
    (3,956)
    182
    (3,952)
    928
    (20,095)
    14.1%
    (14.8%)
    10〜29人
    (製造業)
    500
    (7,516)
    455
    (7,114)
    474
    (7,209)
    447
    (6,853)
    415
    (6,610)
    2,291
    (35,302)
    34.8%
    (26.0%)
    9人以下
    (製造業)
    504
    (5,539)
    474
    (5,197)
    467
    (5,112)
    405
    (4,800)
    386
    (4,582)
    2,236
    (25,230)
    33.9%
    (18.6%)
    木材製造業計
    (製造業計)
    1,438
    (28,291)
    1,365
    (27,077)
    1,350
    (27,452)
    1,233
    (26,391)
    1,206
    (26,454)
    6,592
    (135,665)
     

    資料出所:厚生労働省「労働者死傷病報告」


      1.  林材業の小規模事業場における労働災害の減少を図るための対策として、まず、労働災害防止に有効な手段であるリスクアセスメントの普及、定着を図るため、演習を主体とした実践的なリスクアセスメントの集団指導会の事業を引き続き推進し、協会が開発した「簡易リスクアセスメント記録書」の普及を行う必要がある。
         また、林業・木材製造業労働災害防止規程については、林業に係る木材伐出機械等に係る労働安全衛生規則の改正及び振動障害予防対策の改正に伴う変更、チェーンソー作業防護衣着用及び自己注射器携帯の義務化、伐倒作業の立入禁止区域の範囲の拡大などに関する変更(平成27年10月25日適用)を経て、林業に係るチェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドラインの内包と木材製造業に係る業種の多様化と機械設備の技術革新の進展への対応などに関する変更(平成29年10月26日適用)を行ったところである。
         労働災害防止規程は、労働災害を防止するために事業主が遵守しなければならない事項が網羅されていることから、規程の遵守、徹底を図ることが必要である。
         危険有害な業務については、危険有害業務従事者に対する安全衛生教育の徹底を図るとともに、安全衛生担当者等に対する再教育(能力向上教育)の徹底のための対策を行う必要がある。
      2. イ 林業
         平成24年から平成28年の4年間に発生した林業における死亡災害の特徴を平均値で見ると、チェーンソーを用いた伐木造材作業中の災害が林業死亡災害全体の62%を占めている。このうち、自己伐倒による死亡災害が伐木作業の77%を占めており、11次防(平成19年から平成23年)の期間年平均の56%と比べて21%増加している(表6〜7)。
         自己伐倒による死亡災害の主な原因として、伐倒方法の基本が守られていないことや、かかり木の不適正な処理、枝がらみ・つるがらみ等の確認不足、不適正な伐倒規制などがあげられる。

    《表6》チェーンソーを用いた伐木造材作業による死亡災害の割合

    項目 平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    合計
    林業死亡者数 39人 42人 38人 41人 160人
    伐木造材作業死亡者数 18人 31人 28人 22人 99人
    全体に占める割合 46.2% 73.8% 73.7% 53.7% 61.9%

    資料出所:林材業労災防止協会

    《表7》伐倒作業(自己伐倒)による死亡災害の割合

    項目 平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    合計
    伐木造材作業死亡者数 18人 31人 28人 22人 99人
    自己伐倒死亡者数 14人 21人 20人 21人 76人
    伐木造材作業に占める割合 77.8% 67.7% 71.4% 95.5% 76.8%

    資料出所:林材業労災防止協会


      1.  林業の事故の型別の状況を見ると、激突され災害、墜落・転落災害、飛来・落下災害、崩壊・倒壊災害の4つの災害で全体の8割強を占め、その中でも激突され災害が最も多く、全体の4割を占めている(表8)。
         13次防においても、林業における伐木等作業の激突され災害が重点対策の一つとして上げられ、対策の充実強化を図ることとされていることから、特に伐木作業を主体に抜本的に対策を見直すとともに、国と連携し対策を実施していくことが必要である。

    《表8》林業における事故の型別死亡労働災害の推移 (人)

    規模 平成
    24年
    平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    合計 割合
    墜落、転落 8 10 4 10 8 40 20.3%
    転倒   2   1 2 4 2.0%
    激突       1   1 0.5%
    飛来、落下 6 7 7 6   26 13.2%
    崩壊、倒壊 4 2 6 9 3 24 12.2%
    激突され 13 10 23 9 24 79 40.1%
    はさまれ、巻き込まれ 2 3 2   2 9 4.6%
    切れ、こすれ 1 2       3 1.5%
    高温、低温物との接触 2 1     1 4 2.0%
    その他 1 2   2 1 4 2.0%
    合計 37 39 42 38 41 197  

    資料出所:厚生労働省「死亡災害報告」


      1.  また、車両系木材伐出機械の死亡災害は、平成27年から増加傾向にあり、平成28年は約30%を占めている(表9)。

    《表9》車両系木材伐出機械作業による死亡災害の割合

    項目 平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    林業死亡者数 39人 42人 38人 41人 160人
    車両系木材伐出機械作業死亡者数 5人 4人 7人 11人 27人
    全体に占める割合 12.8% 9.5% 18.4% 26.8% 16.9%

    資料出所:林材業労災防止協会


      1.  車両系木材伐出機械の運転の業務については、平成25年11月に安全衛生規則が改正され、平成26年6月に施行されるとともに、車両系木材伐出機械(3区分)に係る運転の業務については特別教育が義務付けられ、平成26年12月から適用されている。
         車両系木材伐出機械は保有台数が増加傾向にあり、また、本計画期間中に特別教育の義務付けから5年を経過することから、車両系木材伐出機械の運転の業務に現に就いている作業者が、能力向上教育を定期的かつ確実に受講するための対策を実施する必要がある。
         年齢別、経験年数別の死亡労働災害の発生状況を見ると、年齢別では、19歳から49歳までが3割、50歳から80歳以上の中高年齢労働者が全体の約7割を占めている。経験年数別では、就業5年以下の新規就業者の死亡災害が全体の約3割を占め、就業6年から10年までと合わせた就業10年以下が約半数を占めている(表10)。
         このことから、再雇用者を含む新規就業者に対する対策及び50歳代以上の中高年齢者に対する対策が必要な状況である。

    《表10》林業死亡災害に係る年齢別・経験年数別分布(平成25年〜28年)(人)

    年齢階級経験年数 〜19 20〜29 30〜39 40〜49 50〜59 60〜69 70〜79 80〜 不詳 割合(%)
    0〜5 1 8 6 5 9 14 1     44 27.5
    6〜10   2 7 4 9 2 2 1   27 16.9
    11〜15     1   4 8 1     14 8.8
    16〜20     2 2 3 7       14 8.8
    21〜25       3 1 1       5 3.1
    26〜30         4 5 2     11 6.9
    31〜35         4 3 1     8 5.0
    36〜40         1 6       7 4.4
    41以上         1 2 9 2   14 8.8
    不詳     4 2 2 3 2 2 1 16 10.0
    1 10 20 16 38 51 18 5 1 160  
    割合(%) 0.6 6.3 12.5 10.0 23.8 31.9 11.3 3.1 0.6    

    資料出所:林材業労災防止協会

      1. ウ 木材製造業
         平成24年から平成28年の4年間に発生した木材製造業における死亡災害を見ると、次のような状況である。
         作業別については、木材等製造作業12件(28%)、車両系荷役運搬作業及びコンベヤー移送・転送作業13件(30%)、非定常作業13件(30%)、その他5件(12%)の割合となっている。
         このうち木材等製造作業では、木材加工用機械作業主任者の選任が必要な丸のこ盤、帯のこ盤、自動送材車、かんな盤、面取り盤、ルーターを起因とする死亡災害は、全体の4件(9%)で、残りはドラムバーカー等の木材剥皮機械、チップ製造機械、集成材製造、プレカット材製造、合板製造の製造機械関連で8件(19%)となっている。災害の型別では、「はさまれ・巻き込まれ」が大部分を占めている。
         荷役運搬、移送・転送関係作業では、13件(30%)となっており、そのうちフォークリフト作業における災害が3件(7%)、コンベヤー作業における災害が6件(14%)発生し、災害の型別では、フォークリフト作業における「激突され」災害、コンベヤー関係作業における「はさまれ・巻き込まれ」災害が多く発生している。
         非定常作業については、機械を停止しないままのメンテナンスや製造作業などが13件(30%)を占めている(表11)。

    《表11》木材製造業における死亡災害の割合

    項目 平成
    25年
    平成
    26年
    平成
    27年
    平成
    28年
    (割合)
    木材製造業死亡者数 16人 11人 7人 9人 43人  
    木材等製造作業 (2人)3人 5人 3人 (2人)1人 (4人)12人 27.9%
    荷役運搬・コンベヤー関係 4人 (2人)4人 2人 (2人)3人 (4人)13人 30.2%
    非定常作業 6人 2人 1人 4人 13人 30.2%
    その他(交通事故等) 3人   1人 1人 5人 11.6%

    資料出所:林材業労災防止協会
    注 括弧は、当該作業における非定常作業で発生した件数(外数)である。


      1.  木材製造業の労働災害防止対策については、木材製造業における業種の多様化と機械設備の技術革新の進展などに対応して変更した林業・木材製造業労働災害防止規程(平成29年10月26日適用)の遵守、徹底について指導を行う必要がある。
  3. 本計画期間中に取り組むべき重点対策

    <林業、木材製造業共通の重点対策>

    1. (1)「林業・木材製造業労働災害防止規程」の遵守
       林業・木材製造業労働災害防止規程は、平成26年度から改正に向けた検討を開始し、林業については、木材伐出機械等に係る労働安全衛生規則の改正、振動障害予防対策の改正及びチェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドラインを内包する変更を行い、木材製造業については、業種の多様化と機械設備の技術革新の進展への対応などにより変更を行い、厚生労働大臣の認可を得て、平成29年10月26日から適用された。これらの改正に際しては、近年の労働災害を防止するために事業主が遵守しなければならない事項が網羅されていることから、災防規程の講習会、研修会を実施し、事業主の理解を高めることから始め、遵守状況を把握して必要な指導を行うこととする。
    2. (2)リスクアセスメントの普及と実施の推進
       労働災害の着実な減少を図るため、支部において演習を主体とした実践的リスクアセスメントの集団指導会を実施し、協会が開発した「簡易リスクアセスメント記録書」の普及を推進する。
       特に、木材製造業の小規模事業場に対しては、その事業場に出向いて行う出前(集団)指導会を実施する。
       また、安全管理士等が現場安全パトロール等を通じ、集団指導会への参加勧奨を行うとともに、事業場に対してリスクアセスメント定着のための指導を行う。
    3. (3)安全衛生教育の確実な実施
       作業者がスキルアップできるよう、あらかじめ、次の雇い入れ時教育、特別教育及び再教育の時期を決めて計画的に教育を実施するよう指導する。また、定期的に安全講習会等に参加し、安全意識の向上に努めるよう指導する。
      1. ア 雇い入れ時の教育の確実な実施
         作業者を雇い入れたとき、または業務を変更したときは、その作業者に対して、その従事する業務に関する必要な安全衛生教育を行うよう指導を行う。
      2. イ 特別教育の確実な実施
         危険又は有害な業務に作業者を就かせるときは、必要な特別教育を受講するよう指導する。
      3. ウ 再教育(能力向上教育)の確実な実施
         危険又は有害な業務に現に就いている作業者に対し、事業場の安全衛生の水準の向上を図るため、当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新の進展等に対応した安全又は衛生のための教育を定期に受講させるよう指導する。また、再教育(能力向上教育)に係る必要な教材の作成及び充実を図る。
    4. (4)健康保持増進の取組
      1. ア 健康診断の確実な実施
         常時使用する作業者に対し、雇い入れ時の健康診断、定期健康診断、騒音を発する屋内作業者の健康診断、有機溶剤業務に従事する作業者の健康診断、特定化学物質を取り扱う業務に従事する作業者の健康診断の受診について指導する。
      2. イ チェーンソーや刈払機作業従事者に対する健康保持増進の取組
         振動工具管理責任者を選任し、作業者の健康確保のため、低振動工具の使用、作業管理及び健康管理の徹底を図る。
        チェーンソー作業従事者、刈払機作業従事者に対し、特殊健康診断の受診について指導する。
      3. ウ メンタルヘルス対策の推進
         作業者の心の健康作りを推進するための情報提供、メンタルヘルス不調の気づきと対応、職場復帰における支援等について、指導する。
    5. (5)熱中症の予防対策の徹底
       熱中症を予防するため、夏季の屋内外作業について、必要な予防対策の周知、徹底を図る。
    6. (6)行政機関と連携した対策の取組
       労働安全衛生施策に沿った労働災害防止対策を進めるに当たっては、厚生労働省との連携が不可欠であり、連携を強化し対策の充実を図る。
       また、林材業の所管官庁である林野庁と連携し、伐木等作業現場での労働災害防止対策について指導の充実を図る。

    <林業における重点対策>

    1. (1)伐木作業における死亡労働災害の撲滅を目指した取組
      1. ア 伐木作業者に対する能力向上教育の充実強化に向けた取組
         伐木作業については、林業の労働災害の中でも特に発生率が高いことから、高度な技能が必要な立木の伐木作業従事者の技能習得のための講習及び評価制度について、外部有識者による委員会を設置し検討する。
      2. イ チェーンソーによる伐木作業の安全な作業方法の徹底
         死亡災害の7割程度を占めるチェーンソーによる伐木造材作業については、「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の啓発活動及び安全衛生教育の受講の推進を図り、安全な作業方法と正しい作業手順の一層の徹底を図る。
         また、安全管理士等による指導と併せ、林野庁と連携し林業普及指導員等による労働災害の防止対策について指導の充実を図る。
      3. ウ かかり木の処理作業における安全な作業方法の徹底
         死亡災害が多発しているかかり木処理作業については、「かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン」の啓発活動を行い、安全な作業方法の普及徹底を図る。
    2. (2)車両系木材伐出機械作業の安全教育の実施と安全作業の徹底
       車両系木材伐出機械の普及に伴い労働災害が増加しており、運転業務は高度な知識と安全な作業方法の習得が必要であるため、運転業務従事者等に対する確実な安全衛生教育の実施を図るとともに、労働災害防止対策の取組の推進を図る。
      1. ア 特別教育及び再教育の確実な実施(再掲)
         車両系木材伐出機械等については、伐木等機械の運転の業務、走行集材機械の運転の業務、機械集材装置の運転の業務、簡易架線集材装置の運転又は架線集材機械の運転の業務に作業者を就かせるときは、それぞれの特別教育を受講するよう指導する。
         また、車両系木材伐出機械の特別教育は、平成26年12月1日に施行され、本計画期間に5年を経過することから、これら車両系木材伐出機械の運転の業務に現に就いている作業者に対し、事業場の安全衛生の水準の向上を図るため、当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新の進展等に対応した安全又は衛生のための教育を定期に受講させるよう指導する。また、当該教育に係る教材を作成する。
      2. イ 安全作業の徹底
         安全な車両系木材伐出機械作業が行えるようにするため、車両の足場を確保し、走行や作業に支障ある枯損木・伐根等の障害物の除去、走行路の轍や路肩の整備、必要な幅員の確保等、転落等の防止措置を指導する。また、運転中の車両系木材伐出機械または取り扱う原木等と他の作業者に接触するおそれのある箇所に他の作業者を立ち入らせないよう指導する。
    3. (3)高年齢労働者対策等の実施
       中高年齢者及び新規就業者に係る死亡災害防止に関する調査研究を行い、必要な対策を実施する。
      1. ・ 中高年齢労働者の労働災害が増加傾向にあることを踏まえ、労働災害防止対策の取組を推進するとともに、加齢による身体機能低下等に対応した労働災害防止対策の徹底を図る。
      2. ・ 経験が浅いことによる労働災害が増加傾向にあることを踏まえ、採用時において必要な作業知識を習得させるための新規就業者研修等の普及・啓発など雇入れ時教育の徹底を図る。

    <木材製造業における重点対策>

    1. (1)死亡労働災害の撲滅を目指した取組
      1. ア 車両系荷役運搬機械作業における安全な作業方法の徹底
         車両系荷役運搬機械等による作業は、最大荷重にあった有資格者により行うとともに、通行経路の立入禁止区域の表示及び作業方法等を示した作業計画を定め、関係作業者に周知徹底を図る。
      2. イ コンベヤー等運搬装置に関わる安全な作業方法の徹底
         身体の一部を巻き込まれる危険等のおそれがある事業場については、コンベヤー等の運転を停止することができる非常停止装置の設置、立入禁止区域の表示や防護柵の設置を指導する。
      3. ウ 非定常作業における労働災害防止対策の徹底
         非定常作業については、計画的非定常作業や予測可能な作業においても、定常作業と同じく作業手順を作成し、日頃からの訓練の徹底を図る。
    2. (2)木材加工用機械の安全化の促進及び安全な作業方法の徹底
       木材加工用機械の導入に当たっては、機械の包括的な安全基準に関する指針に基づく事項を講じた機械の設置を促すとともに、メーカーから提供された使用上の情報の提供を踏まえ、リスクアセスメントを実施する。特に、労働災害の発生が多い、はさまれ、巻き込まれ、切れ、こすれに対する防止対策を講じた安全な作業方法を確立し、その励行の徹底を図る。
    3. (3)作業主任者等の適正な配置及び職務の励行
       木材加工用機械作業主任者、プレス機械作業主任者、乾燥設備作業主任者、はい作業主任者、有機溶剤作業主任者、特定化学物質作業主任者の選任を要する事業場においては、作業主任者の確実な選任と、その職務の励行の徹底を図る。
       なお、木材加工用機械作業主任者の選任を要しない事業場においては、安全確認者を選任し、その職務の励行の徹底を図る。
    4. (4)小規模事業場への支援(再掲)
       小規模事業場の安全衛生に対する意識高揚を図るため、リスクアセスメント出前集団指導会を実施する。

(2018年度から2022年度)林材業労働災害防止計画(5カ年計画)(PDF:179KB)

(平成25年度から平成29年度)林材業労働災害防止計画(5ヵ年計画)(PDF:252KB)

(平成20年度から平成24年度)林材業労働災害防止計画(5ヵ年計画)(PDF:175KB)

(2018年度から2022年度)林材業労働災害防止計画(概要)(PDF:363KB)

(平成25年度から平成29年度)林材業労働災害防止計画(5カ年計画)リーフレット(PDF:968KB)

▲ページのトップへ