災害事例研究

No.7


挟まれたチェーンソーを伐採後に引き抜いたところ、倒れた材が動いて被災者に当たり、谷に転落した

 被災者は3名で間伐作業に従事していた。9時頃、45年生人工林のスギ(胸高直径28cm、高さ18m)を斜面(傾斜15度くらい)下側へ伐倒しようとしたところ、木の重心が傾斜上側にかたよっていたのと、風にあおられたため、斜面上側に伐倒木が傾き、チェーンソーのバーが挟まれた。
 そこで、別のチェーンソーにより斜面上側に受け口を入れ、伐倒した。木が倒れたので挟まれたままのチェンソーを引き抜いたところ、倒れていたスギが動き、スギの元口に弾かれて小谷へ転落したものである。

◆災害発生の状況◆

  1. 被災者は、まだ林業に従事して2年目の者であった。普段は高性能林業機械(スイングヤーダ・グラップル)のオペレーターとして運転操作を主に行っている。たまたま、伐木の人出が少ないことから、伐倒作業を手伝っていた。
  2. 本来は斜面に向かって横方向に伐倒するべきであるが、斜面下側のかかり木にあびせ倒すつもりで受け口は切られていた。また、追い口も斜面上側から途中まで切り込まれていた。
  3. 当日は、作業を中止するほどではないが、風が強かったようであり、また、山側(上側)に木の重心がかたよっていたため、木は倒れず、チェーンソーを挟まれた。
  4. そのため、2度目の受け口を山側へ1回目より30cm 上に入れ、伐倒することはできたが、最初のチェーンソーは挟まれたままであった。
  5. そのチェーンソーを引き抜こうと、株の横に立ち、強く引き抜いたことから、抜けると同時に倒れた木が回転するように動き、木に弾かれた被災者は1.5 mほど下の小谷に転落した。受災は、転落したことより、木に弾かれたことで右足を骨折した模様である。

向かって右側が1度目の受け口、左側が2度目の受け

図:災害事例研究No.07
図をクリックすると拡大された図のウィンドウが開きます

◆災害発生の原因◆

  1. 林業に従事して2年目で、チェーンソーの取り扱いに不慣れであったこと。
  2. 立木の重心を見誤ったこと。かつ、重心の反対方向に倒すのにくさびを使わなかったこと。また、チェーンソーのバーが挟まれてもくさびを使わずに引き抜いたこと。
  3. 横方向に倒すべきところを、斜面下側にかかり木を作ったことから、あびせ倒しをして、かかり木を外そうとしたこと。
  4. 伐根に接して止まっており、動くと滑落していく可能性のある伐倒木の下方で挟まれていたチェーンソーを引き抜いたこと。

◆災害防止対策◆

  1. 作業開始にあたっては、朝のミーティング等で安全作業の指示・打ち合わせを十分に行うこと。特に、経験が浅い者については、伐木造材作業全般の基本動作の遵守徹底を図ること。
  2. 胸高直径が20cm 以上ある立木の伐倒作業では、伐倒方向を確実にするため、必ず、くさびを2本以上使用すること。
  3. 立木を伐倒するときは、伐倒木の重心の位置を考えて伐倒方向を決定すること。重心位置の反対側に倒すにはチェーンソーだけではできないので、追い口はくさびを2本以上使用して重心を移動させ、のこ道を開けながら切り進み、立木を起こして倒すこと。

災害事例研究 バックナンバー

▲ページのトップへ