災害事例研究

No.102


【林業】枝払い中に、伐倒木が反転して下敷きになった

 被災者が地拵え作業地のダケカンバをチェーンソーで伐倒したところ、ダケカンバの高さ8m付近の太い枝が伐倒木の下側の支え枝となり、幹が浮き上がって不安定な状態であるにもかかわらず、被災者が枝払い作業を行ったところ、突然伐倒木が被災者の方へ反転し、被災者が伐倒木の下敷きになった。

◆災害の発生状況◆

 現場作業は、立木伐採後に地拵え及びアカエゾマツの植え付け作業を行う現場であり、立木の伐倒作業は全体の9割まで終了していた。災害発生当日は、現場責任者及び5名の作業者の計6名であった。
 現場責任者は、ブルドーザーによる集材作業、被災者は1名でチェーンソーによる伐倒作業、3名は刈払機により地拵えの筋刈作業、1名は筋刈り位置の目印となる長さ約2.5メートル、太さ約3センチメートルの根曲がり竹を設置する作業を行った。

 被災者がチェーンソーによりダケカンバ(樹高11.3メートル、胸高直径40センチメートル)を伐倒し、ダケカンバの高さ8m付近の太い枝(直径約20cm)が伐倒木の下側となり、下側となった枝が幹を支え、幹が浮き上がって不安定な状態となっているにもかかわらず、被災者は伐倒木の周囲で枝払い作業を行ったところ、伐倒木が被災者の方へ反転して、被災者が木の下敷きになったと推察される。

(1)作業開始から災害発生までの経過

 休憩時間になっても被災者が戻ってこなかったため、同僚が探したところ、伐倒されたダケカンバの先端付近で木の幹の下敷きになって倒れている被災者が発見された。
 発見時、被災者に目立った外傷は認められなかったものの、すでに意識はなく、病院に搬送されたが即死の状態であった。

(2)災害発生現場の状況等について

  1. 災害発生現場一帯はほぼ平坦な地形で、樹高、樹齢が異なるダケカンバ及びクロエゾマツの混交林に枯損木が散在する天然林であり、地表一面に高さ約50センチメートルの笹が密生していた。
  2. 被災者は伐倒されたダケカンバの伐根から約9メートル離れた箇所で木の下敷きになって横向きに倒れていた。
  3. 被災者が下敷きになったダケカンバ(伐倒木)について
    • 梢端部が生折の状態であったが、空洞及び腐れはなく、重心が著しく偏してはいなかった。
    • 幹の中央付近から梢端部にかけて枝が生えており、そのうちの数本については直径が太いもので約20センチメートルあり、被災者発見時に被災者が倒れていた付近の数本が枝払いされていた。
    • ダケカンバは、受け口と追い口の間に深さ最大7センチメートルにわたり引きちぎられた状態の「つる」が残されており、伐倒時に「つる」が有効に機能した痕跡が認められた。
    • ダケカンバの伐根の位置と伐倒された幹の位置から、ダケカンバが倒れた後、幹が反転したことが推察された。

◆災害の発生原因◆

  1. 伐倒木が支え枝により幹が浮き上がって不安定な状態のまま、枝払いの作業手順を検討せずに枝払いの作業を行ったこと。
  2. 不安定な伐倒木の枝払い方法について、安全衛生教育が不足していたことが推察される。

◆災害の防止対策◆

  1. 支え枝等により反転するおそれのある不安定な伐倒木については、無理に枝払いを行わずに、集材作業時に車両系木材伐出機械を使用して伐倒木を安定させてから枝払いを行うこと。
  2. やむを得ず、不安定な伐倒木の枝払い作業を実施するときは、杭止め等により伐倒木を安定させるとともに、枝払いの作業手順等を検討し、経験豊富な作業者に作業をさせること。
  3. 伐木及び造材作業を行う際に、事前に作業の危険性、対策について事業場全体でリスクアセスメント等を実施し、経験の浅い作業者でも安全に作業ができるよう安全衛生教育を実施すること。

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