災害事例研究

No.105


【林業】間伐作業中、切っていた木の上部に折れてかかっていたマツの木が落下し激突

 スギ林の切り捨て間伐作業において、間伐対象木を伐倒作業中、上部に折れてかかっていたマツの枯れた梢端部が落下し、被災者に激突した。

◆災害の発生状況◆

 3人の作業班が朝のミーティング後に各々単独で作業を開始した。3人それぞれが離れて切り捨て間伐作業を行った。被災者が夕方の集合時間になっても、集合場所に戻ってこないため同僚が探しに行ったところ、16時50分頃、仰向けに倒れている被災者を発見した。
 災害発生現場から、枯れたマツの梢端部が折れて間伐対象の伐倒木の上部にかかった状態になっていたにもかかわらず、被災者は当該木を伐倒したため、マツの梢端部が落下して激突したものと推察された。
 落下した枯れたマツの元口の直径は約15 cm、長さ約10mであった。現場はマツが多く、台風等により被害木が多く発生した状態であった。

◆災害発生の原因◆

  1. 伐倒作業前に伐倒木の上部(折れてかかっていたマツ)の状況を十分確認していなかったこと(推察)。
  2. 退避が遅れたこと。
  3. 被害木が多く発生していた現場の作業手順と方法について、徹底されていなかったこと(推察)。

◆災害防止対策◆

  1. 伐倒作業前に伐倒木の上部の状況を十分確認すること。
  2. 伐倒作業前に伐倒木に折れてかかっていたマツ枯損木を処理してから伐倒作業をすること。ただし、危険が予想される場合は、事業者の指示を受け、熟練者の指導のもと作業を行うこと。
  3. 立木が倒れ始めたら直ちに退避場所に退避すること。
     今回の災害の直接的な原因ではないが、朝のミーティングを終え、各自が作業を開始後、夕方の作業終了時まで連絡が取られない状況で作業が行われていた。
    伐倒作業については、厚生労働省から「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」において、緊急連絡体制については、連絡責任者を選任し、個々の作業者が作業中に相互に連絡できる体制を整備するよう考え方が示されており、災害発生時にできるだけ早期に被災者を発見し救護できる体制を整備しなければならない(下記参照)。

<参考>

労働安全衛生規則業

(伐木作業における危険の防止)
第477条 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による作業を除く。)を行うときは、立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木について、次の事項を行わせなければならない。
1 略
2 かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除くこと。
以下 略

林業・木材製造業労働災害防止規程

(伐倒作業前の準備)
第55条 会員は、伐倒作業に当たり、作業者に次の事項について事前に確認させ、必要な措置を行った後に伐倒させなければならない。
⑴ 略
⑵ 立木の樹種、重心、つるがらみや枝がらみの状記態、頭上に落下しそうな枯損木、枯れ枝等の有無を確認すること。
⑶~⑷ 略
⑸ かん木、枝条、ササ、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを確認すること。
(枝がらみの木、つるがらみの木の伐倒)
第56条 会員は、枝がらみの木を伐倒する場合には、作業者に、できる限り伐倒前にからんでいる枝を取り除かせなければならない。以下略
(障害物の取り除き)
第57条 会員は、伐木の作業を行う場合には、作業者に、それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、ささ、浮石等で伐倒等の際に危害を受けるおそれのあるものを、あらかじめ、取り除かせなければならない。
(退避場所の選定)
第59条 会員は、伐木の作業を行う場合には、作業者に、あらかじめ、退避場所を選定させ、かつ、伐倒の際に迅速に退避させなければならない。

<緊急連絡体制について>

林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン

1 目的
本ガイドラインは、林業の作業現場における緊急時の連絡体制の整備・確立等を促進することにより、労働災害の発生時における被災労働者の早急な救護等を図ることを目的とする。
2 略
3 緊急時における連絡体制等の整備
⑴ 緊急時における連絡の方法等の決定、周知
事業者は、作業現場の位置、作業内容、作業方法、作業現場に持ち込む通信機器、作業現場で利用できる連絡の手段等を勘案し、あらかじめ、緊急時に対処するため必要な次の事項について定めるとともに、その内容を関係労働者に周知させること。
イ 伐木等の作業を個々の労働者が行う場所における作業中の労働者相互の連絡の方法
以下 略
⑵ 連絡責任者の選任
事業者は、作業現場ごとに、連絡責任者を選任し、その氏名を関係労働者に周知させる 以下略。
4 略
5 作業現場における安全の確認等
⑴ 事業者は、連絡責任者に、作業現場において次の事項を行わせること。
イ 略
ロ 関係労働者に対し、3の⑴のイにより定めた方法による労働者相互の連絡を行い、相互の安全を確認するよう指示すること。
ハ 略
⑵ 事業者は、労働者に、作業現場において次の事項を行わせること。
イ 連絡責任者の指示に従って労働者相互の連絡を行い、相互の安全を確認すること。
ロ 労働者相互の連絡において応答がない場合、作業の進捗状況からみて不自然にチェーンソーの音がしなくなった場合等他の労働者に何らかの異常が発生したことが考えられる場合には、当該労働者の作業場所に行く等により異常の有無を確認すること。この場合、異常があれば直ちに連絡責任者に連絡をすること。
6 以下 略

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