災害事例研究

No.113


【林業】伐倒したスギが予定した方向に倒れず、山側に倒れ根元が被災者に激突

 被災者はスギを伐倒したところ、伐倒方向が90度変わって山側に倒れ、根元が退避した被災者の方へ跳ね激突した。

◆災害の発生状況◆

 被災者は、皆伐作業に従事し、地山傾斜25度の斜面でスギ(伐根直径30cm、樹高20m)を等高線方向に倒そうとして、受け口を切り、追い口を切ったところ、伐倒木は予定した方向とは90 度変わって山側に倒れ、倒れた勢いで根元が跳ね、退避していた被災者に激突した。
なお、災害発生後の調査でスギの伐倒木の受け口の下切りを切りすぎて、斜め切りとの会合線が一致せず、つるが効かない状態であった。また、伐倒木の谷側の伐根付近に腐れが見られ、枝は山側に張り出していたため、重心が山側に偏心していた。

◆災害発生の原因◆

  1. 受け口の下切りを切りすぎて、斜め切りとの終わりの線(会合線)が一致せず、つるの機能が不十分であったこと。
  2. 枝が山側に張りだし、重心が山側に偏っていたことから伐倒方向が変わったこと。
  3. 退避が不十分であったこと。
  4. 伐倒木の谷側の伐根付近が腐っていたため、谷側のつるが機能しなかったこと。

◆災害防止対策◆

  1. 受け口の下切りと斜め切りとは、終わりの部分(会合線)は必ず一致させること。
  2. 伐倒方向の選定に当たっては、伐倒木の枝の張り具合を確認し、無理のない伐倒方向を選定すること。
  3. 伐倒木が上方向に倒れた場合、地形によって立木が倒れる時に元口が跳ね上がることを想定して退避すること。
  4. 腐れが見られる立木は、ナタ、オノなどで叩いたり、チェーンソーを突き刺したりして、腐れの状況を把握すること。
     また、伐倒木の伐根付近が腐れている場合、伐倒の切断面を腐れの少ない幹部に変更すること。ただし、作業の安全性から高さ最大1m程度までの高さとすること。
     つる幅は腐れの程度に合わせて、幹の1/10から3/10程度を目安とすること。
  5. 伐根付近が腐っている場合は、つるが効かないことも想定し、追いづる切りなどの方法を選択して伐倒する

林業・木材製造業労働災害防止規程〈抜粋〉

(受け口及び追い口)
第61条 会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、作業者に、それぞれの立木について、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
(2) 受け口の下切り面と斜め切り面とのなす角度は、30度以上45度以下とすること。
受け口の下切りと斜め切りの終わりの部分を一致させること。
(伐倒作業前の準備)
第55条 会員は、伐倒作業に当たり、作業者に次の事項について事前に確認させ、必要な措置を行った後に伐倒させなければならない。
(2) 立木の樹種、重心、つるがらみや枝がらみの状態、頭上に落下しそうな枯損木、枯れ枝等の有無を確認すること。
(3) 跳ねっ返りや落下、倒木等による危険の可能性のある立木、枝、枯損木等については事前に確認すること。
(4) 伐倒方向を確認すること。なお、伐倒方向は、斜面下方に対し、45度から105度までの方向を原則とすること。

(退避場所の選定)
第59条 会員は、伐木の作業を行う場合には、作業者に、あらかじめ、退避場所を選定させ、かつ、伐倒の際に迅速に退避させなければならない。
2 会員は、前項の退避場所は、伐倒方向の反対側で、伐倒木から十分な距離があり、かつ、立木の陰等の安全なところでなければならない。

(追いづる切り)
第59条 会員は偏心の程度が著しい立木又は裂けやすい木では、追いづる切りにより伐倒させなければならない。

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