災害事例研究

No.15


【林業】風倒木を切断中、幹が裂けて腹部を直撃された

 間伐作業に支障となる弓なりになった風倒木をチェンソーで切断中、切断箇所が裂け、反発した風倒木の幹が被災者の腹部を直撃した。

◆災害発生の状況◆

 当日被災者は同僚Aと2人で、間伐作業に従事していた。被災者は10時30分頃、ほぼ水平に倒れ、立木の間に挟まった風倒木(胸高直径28cm、樹高21.5m)が間伐作業の支障となるため処理しようとして、根元より11.5m(直径20cm)の所をチェンソーで玉切りしていたところ、幹の中央部が急に折れてはね返り、被災者の腹部を強打した。
 被災者より約50m離れたところにいた同僚Aは、被災者のチェンソー音がしなくなったため確認に行った被災者を発見、すぐに会社へ緊急連絡を行い、15時頃防災ヘリで病院へ搬送された。
 なお、当日処理以前の当該風倒木の状態は、風害により倒れる際、斜めになった隣接する立木により方向を変えられ弓なりに倒れたため、風倒木の幹に強い張力が働いていたものと推測される。

◆災害発生の原因◆

  1. 風倒木を玉切りする際、風倒木が弓なりに倒れ張力がかかっていることを確認しなかったこと。
  2. このため、切断時の裂けやはね返りを防止する措置をせず、いきなり切断したこと。

◆災害防止対策◆

 風害、雪害などで発生した風倒木等は、通常の立木の伐倒とは異なり、切断時の跳ね返り、伐倒時または切断時の材の不安定など、災害を起こしやすい条件にあるので、特に注意が必要である。対策としては、

  1. 転倒木は、通常の伐倒木と異なり、曲がって異常な張力がかかっていることがほとんどである。曲がっている木を切り離すときは、曲がりの内側から切れ目を入れ、次いで外側から切断して、切断時の跳ね返りを防止すること。なお、極度に曲がっている場合は、曲がりの内側にV字型の切り欠きをすること。
  2. 跳ね返りのおそれがある場合は、跳ね返りに備えて退避路を確保しておくこと。
  3. 転倒木等で根株が起きている木の切り離しに当っては、根株の転動を見極め、それぞれに応じた措置を講じた上で、作業を行うこと。

[参考]林業・木材製造業労働災害防止規程より抜粋
(作業者の指名)

第29条 会員は、安衛則第36条第8号に係る特別教育終了者のうちから技能を選考の上、会員が指名した者でなければ風雪等により転倒した木、又は折損した木であって、乱積(やがら)になったものの造材の業務に就かせてはならない。

図:災害事例研究No.15

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