災害事例研究

No.36


【木材製造業】リングバーカーのフィードローラーと押えローラーの間に身体を挟まれた

 製材工場において、原木皮剥ぎ機(リングバーカー)の電源を切らずに、押えローラーの昇降ガイド装置に注油するため、ローラー部に立ち入り、リングバーカーのフィードローラーと押えローラーの間に、身体を挟まれた。

◆災害発生の状況◆

 当日は、1月の仕事始めであった。被災者は、午前中から工場内のバーカー(皮剥ぎ)ラインの責任者として、1人で作業を行っていた。
 皮剥ぎする原木のストックがなくなったことと、年末の仕事納めの際、注油することを忘れていたことを思い出したため、一旦バーカーラインを停止した。そのうえで、リングバーカーの電源を切らず、かつ、センサー解除の安全バーも解除せずにローラー部に立ち入り、リングバーカーの押えローラーの昇降ガイド装置にグリースを注油しようとしたところ、センサーが被災者を原木と誤認識して動き出し、押えローラーが下降してきて、原木を送り込むフィードローラーと押えローラーとの間に、胴体を押え付けられたものと思われる。
 ラインが動いていないことを不審に思った同僚が、被災者を捜したところ、エビ状に身体を折りたたむ状態で、ローラーに押え込まれた被災者を発見した。

◆災害発生の原因◆

  1. リングバーカーの電源を切らずに、ローラー部に立ち入ったこと。
  2. センサー解除の安全バーを作動させなかったこと。
  3. 非常停止装置が設置されていなかったこと。
  4. 注油時の作業手順が定められていなかったこと。

◆災害防止対策◆

  1. リングバーカーのローラー部のように、「挟まれ、巻き込まれ」のおそれのある箇所で給油、掃除等を行うときは、機械の運転を停止し、電源を切る等機械が不意に起動しない措置をとること。
  2. 労働安全衛生規則
    (そうじ等の場合の運転停止等)

    第 107条 事業者は、機械(刃部を除く。)のそうじ、給油、検査又は修理の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。
    2  事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

  3. リングバーカーのセンサーの作動部には、作業者が安易に立ち入りできないよう囲い等を設け、立ち入り禁止の表示をすること。
  4. 押えローラー近辺に、非常停止スイッチを設けること。
  5. <参考>
    労働安全衛生規則
    (非常停止装置)

    第151条の78 事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第151条の82において「非常停止装置」という。)を備えなければならない。

  6. 注油、掃除、修理等でリングバーカーのローラー部に入るときの作業手順を定め、作業者に周知徹底すること。
      なお、非定常(緊急)作業では、作業内容(原因によって対処の仕方が違うので、作業者が勝手に判断すると危険なことがある。したがって、最小限必要な手順(例えば、「電源を切る」「上司への報告」「2人で作業する」を定めた作業手順)を作成すること。

 労働災害は、今回の災害のように、定常作業時よりも非定常作業時のほうが多く発生している。人は必ずミスを犯し、設備は必ず故障、劣化することを前提とした設備対策や安全管理を考えておくことが重要となる。
 また、あらかじめ想定される非定常作業に関しては、適切な作業手順書を作成し、作業に関する安全教育を行うこと。万が一、想定外の事態が発生した場合は、必ず個人的な判断をせず、管理監督者の指示を仰ぐなどの連絡体制を確立しておくことも必要である。
 最後に、センサーの誤動作、誤認識による労働災害が近年多く発生している。この機会に、自社にある機械で主電源を切らずに、単に機械を停止した状態のときに、機械に設置されているセンサー類がどのような動きをするのか確認することをお勧めする。

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