災害事例研究

No.42


【林業】伐倒したナラ枯損木の枝切り作業中に樹幹が転動。残っていた枝で右大腿部を強打された

 緩傾斜の混交林内に発生したカシノナガキクイムシ被害木の伐採処理作業中、倒伏したコナラの枝をチェンソーで切断していたところ、コナラの材の安定を崩した樹幹が回転し、少し離れた位置の枝に右大腿を強打され、打撲傷を負った。

◆災害発生の状況◆

  1. 林地傾斜約10度の都市近郊景観地に発生したカシノナガキクイムシ被害木の整理作業で、り病後数年を経たコナラ(胸高直径38cm、樹高18m、元口から約3mの位置で4本の大枝に分岐していた)を伐倒した。当該コナラは林地に接した複数の枝に支えられ、樹幹を浮かせた状態であった。
  2. 被災者は、この倒伏木の枝を切り落し、支え枝の中の一本を切り離したところ、樹幹が手前に回転するように落ちて、少し離れた位置にあって空中に浮いた状態の枝(着生部位での直径約8cm)が被災者の右太股を強打し、打撲傷を負ったものである。

◆災害発生の原因◆

  1. 枝に支えられて樹幹が浮いたような不安定な状態にある材の枝払い、玉切りにおいて作業に伴う剤の転動の判断が不十分であったこと。
  2. 特に、広葉樹の場合は樹幹の湾曲、枝の着生状態等の変異が大きいことから、細心の注意を要するところ、枝切りの順序として、小径のもの、空中に伸びた状態で自重以外に力が加わっていないもの等から先にし、作業に伴って大きな力の変動をきたすようなものは後から処理する等の判断を誤ったこと。
  3. 転動防止のためのくい止め等の措置を怠ったこと。
  4. 作業の進行に伴う材の動きに対して、退避の方向、距離が不十分であったこと。

◆災害防止対策◆

  1. 広葉樹の樹形は一般に不整形であり、その伐倒、造材に当たって重心の見極め、内部応力の判断に当たっては、針葉樹のそれに倍する程の慎重さを必要とする。
  2. 枝払いの順序は、元口側から空中に浮いている材の上面のものを先に処理し、地上に接しているもの、大径のものは後からの処理とする。
  3. 支え枝の処理、玉切りに当たっては、樹幹の固定・支持、転滑動防止措置を施す。
  4. 伐倒に際して、重心の位置、方向等の判断に苦しむような場合には、牽引具を用い、伐倒方向を規制するなどの工夫が必要である。

災害事例研究No.42 画像1

(材の転落防止)

第30条 会員は、造材の作業を行う場合には、作業者に、造材しようとする材が転落する危険がないかを点検させ、転落する危険が予想されるときは、杭止め等の措置を講じさせなければならない。

2 会員は、玉切りした材が転落するおそれがある場合には、作業者に、その材を安定した位置に移すこと等の措置を講じさせなければならない。

災害事例研究No.42 画像2

〔作業のポイン卜〕

① 急斜地で作業を行う場合は、材の転落を防止するため、材に杭止め、歯止め、ワイヤロープ止め等を行います。

② 造材したときは、安定していた材でも、ある程度時間が経過すると、材が不安定になることもあり、転落するおそれも生じるので、安定した位置に移すこと等の措置を講じておきます。

災害事例研究 バックナンバー

▲ページのトップへ