災害事例研究

No.47


【林業】丸のこ盤の「歯の接触予防装置」を取り付けないまま作業を行い、左手親指を切断

 被災当日、丸のこ盤の「歯の接触予防装置」を取り付けないまま、家具部材の小割作業に従事していたところ、テーブルの上に木端が残った。このため、いつものように、これを払いのけたところ、親指が丸のこに当たったものである。

◆災害発生の状況◆

  1. 安全に対する認識が、事業者、労働者共に欠如していたため、丸のこ盤の「歯の接触予防装置」が取り付けられていなかった。
  2. 安全に正しく作業するための作業手順が定められていなかった。

◆災害防止対策◆

  1. 事業者、安全推進者又はこれらに代わる者は、安全装置が正しく設置され、その機能が働くことを確認すること。
  2. 事業者、労働者共に、何が安全で、何が不安全なのかを改めて認識すること。

◆おわりに◆

 この災害が発生する前に、労働基準監督署の労働基準監督官が労働災害の発生状況の調査のため、被疑会社を臨検監督したところ、木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置(労働安全衛生規則第123条)を設けず、作業を行っているのを現認したため、使用停止(労働安全衛生法第98条)を命じた。その後、違反状態が是正されたのを確認し同命令を解除した。
 しかし、被疑会社は解除の翌日に、歯の接触予防装置を使用せず労働者に作業させ、左手親指切断の労働災害を発生させていたことが判明し、同年5月に再度臨検監督を実施したところ、歯の接触予防装置を設けず作業させているのを確認したものである。
 このため、労働基準監督署は、丸のこ盤の「歯の接触予防装置」を設けなかった木製家具製造業者及び同社代表者を労働安全衛生法違反容疑で、地方検察庁支部に書類送検した。
 安全は、すべてに優先することを思い起こしていただき、作業現場の状況をいま一度見直していただきたいものである。

労働安全衛生法(抄)(昭和四十七年法律第五十七号)

(労働者の申告)
第九十七条 労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
2 事業者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(使用停止命令等)
第九十八条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項又は第三十四条の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる。
2 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者に命ずることができる。
3 労働基準監督官は、前二項の場合において、労働者に急迫した危険があるときは、これらの項の都道府県労働局長又は労働基準監督署長の権限を即時に行うことができる。
4 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、請負契約によつて行われる仕事について第一項の規定による命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該仕事の注文者(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該注文者の請負契約の先次のすべての請負契約の当事者である注文者を含み、当該命令を受けた注文者を除く。)に対し、当該違反する事実に関して、労働災害を防止するため必要な事項について勧告又は要請を行うことができる。

労働安全衛生規則(抄)(昭和四十七年労働省令第三十二号)

(規格に適合した機械等の使用)
第二十七条 事業者は、法別表第二に掲げる機械等及び令第十三条第三項各号に掲げる機械等については、法第四十二条の厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ、使用してはならない。

労働安全衛生法(抄)
別表第二(第四十二条関係)
十 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防

(安全装置等の有効保持)
第二十八条 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆(おお)い、囲い等(以下「安全装置等」という。)が有効な状態で使用されるようそれらの点検及び整備を行なわなければならない。
(労働者の守るべき事項)
第二十九条 労働者は、安全装置等について、次の事項を守らなければならない。
一 安全装置等を取りはずし、又はその機能を失わせないこと。
二 臨時に安全装置等を取りはずし、又はその機能を失わせる必要があるときは、あらかじめ、事業者の許可を受けること。
三 前号の許可を受けて安全装置等を取りはずし、又はその機能を失わせたときは、その必要がなくなつた後、直ちにこれを原状に復しておくこと。
四 安全装置等が取りはずされ、又はその機能を失つたことを発見したときは、すみやかに、その旨を事業者に申し出ること。
2 事業者は、労働者から前項第四号の規定による申出があつたときは、すみやかに、適当な措置を講じなければならない。
(丸のこ盤の反ぱつ予防装置)
第百二十二条 事業者は、木材加工用丸のこ盤(横切用丸のこ盤その他反ぱつにより労働者に危険を及ぼすおそれのないものを除く。)には、割刃その他の反ぱつ予防装置を設けなければならない。
(丸のこ盤の歯の接触予防装置)
第百二十三条 事業者は、木材加工用丸のこ盤(製材用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤を除く。)には、歯の接触予防装置を設けなければならない。

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