災害事例研究

No.64


【林業】油圧ショベルで作業道開設中に路肩が崩壊し、重機とともに約30m転落した

◆災害の発生状況◆

 被災者は、同僚と2人で作業道開設作業を実行していた。午前9時に同僚と打ち合わせ後、別れて作業を開始した。被災者は0.45tの油圧ショベルで作業道の開設作業、同僚は150mほど作業道を下がったところで0.25tのブレーカーで岩を割る作業を行っていた。15時50分ごろ下の作業が終了した同僚が、谷底に転落した重機を発見。ただちに別の作業をしていた同僚に連絡するとともに、消防署に連絡し救急車の要請を行った。

 その後、同僚は転落した重機のもとへ向かい、重機の横に倒れている被災者を発見。被災者は救急隊により救出され、病院に搬送されたが死亡が確認された。なお、被災者はシートベルトをしていなかったようであり、転落した重機のキャビンには大きな破損は見られなかった。

◆災害発生の原因◆

  1. 車両系建設機械を用いて作業を行うのに、現地の地形・地質に適応した作業計画が定められていなかったこと。
  2. 誘導者の配置や転落防止の措置が行われていなかったこと。
  3. 車両系建設機械を用いて作業を行う者に対する安全教育・危険予知活動が徹底されていなかったこと。

◆災害防止対策◆

 最近の死亡事故の中で車両系林業機械に関する災害の増加がみられる中で、平成25 年には斜面からの転落による災害が3件発生し、本年もこれまでに6件(うち2件は車両系建設機械)発生している。

 平成26年12月1日から「改正労働安全衛生規則」が施行され、車両系林業機械の運転業務従事者に対する特別教育が適用されたことから、必ず特別教育を受けるとともに、特別教育を修了した者は労働安全について以下の点に留意すること。

  1. ① 作業道等の定期点検を実施(特に降雨後は必須)すること。
  2. ② 事前踏査を実施し、危険個所はポール、コーン、テープ、トラロープ等で明示すること。
  3. ③ 走行路幅が狭い個所は拡幅すること(車幅の1.2倍以上)。
  4. ④ 滑りやすい個所での敷き砂利を行うこと。
  5. ⑤ 走行路及び作業場所の必要幅員を確保すること。

労働安全衛生規則 (昭和47年9月30日労働省令第32号)抜粋

(調査及び記録)

第154 条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、当該車両系建設機械の転落、地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地質の状態等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。

(作業計画)

第155 条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行なわなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
 一 使用する車両系建設機械の種類及び能力
 二 車両系建設機械の運行経路
 三 車両系建設機械による作業の方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第二号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

(転落等の防止等)

第157 条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、車両系建設機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械の運行経路について路肩の崩壊を防止すること、地盤の不同沈下を防止すること、必要な幅員を保持すること等必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、路肩、傾斜地等で車両系建設機械を用いて作業を行う場合において、当該車両系建設機械の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させなければならない。

3 前項の車両系建設機械の運転者は、同項の誘導者が行う誘導に従わなければならない。

第157 条の2 事業者は、路肩、傾斜地等であって、車両系建設機械の転倒又は転落により運転者に危険が生ずるおそれのある場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の車両系建設機械を使用しないように努めるとともに、運転者にシートベルトを使用させるように努めなければならない。

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