災害事例研究

No.67


【林業】木材グラップル機でつかんだ材が折れ、下にいた被災者が激突された

 立木伐倒作業現場において、伐倒したスギ(元口直径28㎝)に付着した雪が玉切り作業の支障となるため、木材グラップル機(以下「グラップル」という)で伐倒木に先端部分(直径13㎝)をつかみ持ち上げて雪を落とそうとしたところ、つかんだ箇所から折れ、下にいた被災者が折れた材の元口部分に頭部を激突されたものである。

◆災害の発生状況◆

  1. この事業は山の所有者からスギ立木を購入し、伐木、造材した上で取引先の製材所に搬送するものである。
  2. 通常はこの現場は3人体制で仕事を進めており、被災者と作業者A(以下「A」という)はスギ立木の伐倒及び玉切り、作業者B(以下「B」という)はグラップルで玉切り材の不整地運搬車への積み込み作業と、不整地運搬車を運転して土場への運搬作業を担当していた。
  3. 災害当日、現場に向かう会社所有のワゴン車の中で、Bは被災者とAが「伐倒木の雪を落とさないといけないな」という話をしているのを聞いた。
  4. 8時頃現場に着き、3人は林道を歩いて現場に向かう途中、林道脇に置いていたチェーンソー用燃料タンクから燃料缶に小分けし、2人がそれぞれ燃料缶を持って伐採現場に向かった。
  5. Bはグラップルと不整地運搬車のエンジンをかけた後グラップルの運転席に座り、前日集めた玉切り木を不整地運搬車に積もうとしていたところ、被災者から「伐倒木に積もった雪を落とさないと玉切りができないので、落としてくれ」と言われた。そこで、被災者の持ち場にある伐倒木の雪を落とすため180度程旋回して前進し、雪をかぶった伐倒木の端をつかんで持ち上げたところ、雪が落ちたことからグラップルでつかんだまま地面に降ろした。
  6. 同じ要領で2本目の雪も落としたが、その際運転席から見て左側に被災者の姿が見えた。
  7. 3本目の伐倒木の先端部分をグラップルでつかんだところで、運転席から見て伐倒   木の右側に被災者が立っているのが見えた。雪を落とすためグラップルのブームを上げる操作を行っていたところ、突然グラップルでつかんだ個所から折れて落下した(材種:杉、長さ:7.9m、重量:約225kg、元口直径:28cm、折れた箇所の直径:13cm)。
  8. Bはエンジンを止めて駆け寄ったところ被災者はうつぶせの状態で倒れていた。
  9. 被災者が伐倒木の下に入った理由は不明であるが、チェーンソー用オイル缶を取るためであったと推定される。

◆災害発生の原因◆

  1. グラップルの周囲に立ち入り禁止措置を講じていないこと。
  2. 被災者がグラップルの運転者に合図等をしないで、運転中のグラップルに近づき作業を行ったこと。

◆災害防止対策◆

  1. グラップルを用いて作業を行う場合は、走行範囲のみならず、アーム、ブーム等の作業装置の可動範囲及び荷の下に労働者が入らないよう立入禁止措置を講ずること。
  2. グラップルの運転者が周囲の状況の確認をより徹底するよう再度教育すること

立入禁止

 運転中の車両系木材伐出機械、原木等、ワイヤロープ、吊り具等への接触、飛来・落下等の危険が生ずるおそれのある箇所に作業者を立ち入らせてはいけない。なお、例えば、車両系木材伐出機械による作業と他の作業を連携して行う必要が生じたときに、車両系木材伐出機械による当該作業を停止するなどの措置をとり、作業者に危険が生ずるおそれのない場合には、当該機械の周囲に一時的に作業者を立ち入らせることは可能である。

   安衛則 第151条の96(立入禁止)
   災防規程 第37条、第100条(立入禁止)

(1)伐木等機械による造材作業での立入禁止

 以下の箇所に立ち入ってはいけない。
 造材作業では、運転席からブーム、アームを伸ばした距離の2倍以上を半径とする円の範囲内と原木を送る方向。
 はい積みおよび木寄せ作業では、運転席からブーム、アームを伸ばした距離の2倍以上を半径とする円の範囲内。

(2)合図

 運転者と他の作業者は、トランシーバー等の通信装置を携帯する、あるいは一定の合図を定め、確実に行うこと。
 運転者は、機械始動時にクラクションを鳴らして、他の作業者に注意を促します。また、運転者は、危険区域内に他の作業者や機械の有無など、周囲の確認のために指差し呼称を行うこと。
   安衛則 第151条の94(合図)
   災防規程 第38条(作業の合図)


  • 造材作業

  • はい積み・木寄せ作業での危険区域

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