災害事例研究

No.77


【林業】同僚が伐倒したスギに直撃された

 河原で伐倒したスギが、上方を通る農道で枝払いをしていた被災者に激突し、死亡したものである。

◆災害の発生状況◆

  1. 災害発生現場では、樹齢約35 年までのスギを70 本程度皆伐する作業を行っていた。災害発生当日は作業開始後3日目で、3人で作業をしており、同僚Aは農道上に車両系建設機械を置いて、伐倒木を農道に引き上げる作業を、被災者は引き上げた伐倒木を農道上でチェーンソーを使用して枝払いと玉切りをする作業を、同僚Bは農道から約9m下の河原でスギをチェーンソーで伐倒する作業を行っていた。
  2. 同僚Bは作業開始後、4本目のスギ(樹高約24 m、太さは切断面で55 cm×45 cm)について、受け口を作り1回目の追い口を切ってクサビを差し込んだ。伐倒者である同僚Bからは農道上の様子が見えなかったので、呼子で合図をしたが返事はなかったため退避しただろうと思い、次に2回目の追い口を切ったところ、伐倒木が河原から農道の法面方向に倒れて、農道上で枝払い作業中の被災者に伐倒木の上部が激突した。

◆災害発生の原因◆

  1. 上下作業を行っていたこと。
  2. 伐倒時の合図を予備合図、本合図と段階的に実施せず、応答合図がないのに伐倒したこと。
  3. 追い口を切る前に立入禁止区域内の農道上の作業者の退避確認を行わなかったこと。
  4. 伐倒方向が適切でなかったこと。
  5. 伐倒者に、チェーンソーを用いて行う立木の伐木業務について、特別教育を実施していなかったこと。

◆災害の防止対策◆

  1. 上下作業を行わないこと。
    斜面で作業を行う場合、作業者の位置が上下になっていると、伐倒木や玉切りした材等が転落する危険を生ずるおそれがあるので、労働者を立ち入らせてはならない。
  2. 伐倒作業での合図
    1. 伐倒作業では、定められた合図を、呼び子または大声で必ず行い、周囲の作業者等の安全を確認して作業を進めること。伐倒合図の徹底と、他の作業者等の退避の確認は極めて重要である。
    2. 伐倒の合図は、次により行うこと。
      1. 受け口切りの作業を開始する直前に、「予備の合図」を行うこと。
        このとき、立入禁止区域(樹高の2倍以上の距離の範囲内)に他の作業者がいないことを確認すること。
      2. 追い口切りの作業を開始する直前に、他の作業者が確実に退避を行っているか確認した上で「本合図」を行うこと。
         なお、クサビを打って倒す場合、クサビを打つ直前に「本合図」を行うこと。
      3. 伐倒を終え、伐倒した材が安定して、周囲の安全を確認後「終了合図」を行うこと。
  3. その他
    1. 本件の場合、河原からは農道上の作業者が見えにくいため、監視要員を農道上に配置し確認させること。例えば、朝のTBM等打合せ時に車両系木材伐出機械の運転者が監視要員を一時的に兼ねることができるように、役割分担と作業手順を決めておく等の措置を講じること。
    2. 事業者は、伐倒者にチェーンソーを用いて行う伐木造材作業について、特別教育を実施すること。また、「危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針」(平成5年5月22日付け基発第247号)に基づき、当該業務への従事者安全衛生教育を5年ごとに定期に実施すること。
  4. 厚生労働省が平成27 年12 月7日付けで発出した「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(基発第1207 第3号通達)(別添1)により、伐木等の作業を行うこと。

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