災害事例研究

No.92


【林業】林業架線作業で、作業索にはねられて滑落

 機械集材装置で伐倒木を集材中に、荷掛け者が引戻索にはねられ、約30m下に滑落して死亡したもの。

◆災害の発生状況(推定)◆

  1. 災害発生現場は、写真に示す通り、天然林の皆伐現場である。機械集材装置により集材をしており、集材機の運転者及び林業架線作業主任者がいる場所からは、斜面上にいる被災者の姿は小さく見えたが、遠方のため引戻索などは見えない状況であった。
  2. 被災者が伐倒木に荷掛けをして集材機の運転者に無線で巻き上げを連絡し、荷を巻き上げたが、根株に引戻索が引っ掛かり、それが外れた際に被災者に飛来し、被災者は索にはね飛ばされて斜面を約30m滑落した。
  3. 架線の索張りは、エンドレスタイラー方式で、斜距離は344m、最大使用荷重は1.5トン、集材機の最大牽引力は5.0トンである。

◆災害の発生原因(推定)◆

  1. 被災者の退避場所が、引戻索の内角側であったこと。
  2. 被災者の退避距離が、十分でなかったこと。
  3. 引戻索が根株に引っ掛かったこと。
  4. 林業架線作業主任者が荷掛け者の位置確認などをしていなかったこと。
  5. 荷掛け者等に対する安全教育が不十分であったこと。

◆災害の防止対策◆

  1. 荷掛け者等の作業員は、引戻索の内角側と主索側には立ち入らないこと。
  2. 荷掛け者は、荷からの退避距離を十分に取って安全な場所に退避してから、集材機の運転者に巻き上げの合図を送ること。
  3. 引戻索が、根株に引っ掛からない高さで索張りをすること。
  4. 林業架線で集材作業を行う前に、引戻索が根株に引っ掛かりにくくするために、根株は斜面に沿って低い位置で処理しておくこと。
  5. 林業架線作業主任者は、機械装置の設置状況、作業に伴う作業索の移動する方向及び根株の位置などを検討し、危険個所を把握して、作業方法と作業員の配置を決定し、現場で直接作業を監視し、指揮すること。
  6. 荷掛け者等の作業員に対する安全教育を繰返し十分に行うこと。

◆関係法令参照条文◆

「労働安全衛生規則」

(立入禁止)
第 151条の142  事業者は、林業架線作業を行うときは、次の箇所に労働者を立ち入らせてはならない。

  1. 主索の下で、原木等が落下し、又は降下することにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるところ
  2. (略)
  3. 作業索の内角側で、索又はガイドブロック等が反発し、又は飛来することにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるところ

「林業・木材製造業労働災害防止規程」

(立入禁止)
第 172 条 会員は、林業架線作業を行う場合には、次の各号のいずれかに該当する箇所には、立入を禁止する旨の明確な表示を行い、第2項に定める場合を除き、作業者を立ち入らせてはならない。

  1. 主索の下であって、原木等の落下又は降下により作業者に危害を及ぼすおそれのある箇所
  2. (略)
  3. 作業索の内角側であって、索又はガイドブロック等が反発し、又は飛来することにより、作業者に危険を及ぼすおそれのある箇所

(荷掛け作業)
第 197条 会員は、荷掛け作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。

  1. (略)
  2. 巻き上げの際には、安全な箇所に退避した後、巻き上げの合図をすること。

災害事例研究 バックナンバー

▲ページのトップへ