令和4年労働基準局長年頭所感
厚生労働省労働基準局長 吉永 和生
あけましておめでとうございます。
新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
令和四年の年頭に当たり、改めて日頃の労働基準行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の労働基準行政について述べさせていただきます。
第一に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
新型コロナウイルス感染症は、全国的に減少傾向にあるものの、新たな変異株が確認される等、依然として予断を許さない状況にあります。当局においても、職場において特に留意すべき「取組の5つのポイント」や「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」等を作成し、関係団体に対し累次の協力依頼を行ってきたところであり、引き続き、感染状況を注視しつつ、職場における新型コロナウイルス対策の推進に取り組んでまいります。
第二に、働き方改革に関する対応についてです。
令和六年四月から時間外労働の上限規制が適用されることとなっている医師については、改正医療法等を踏まえ、時間外労働・休日労働の上限を設けるなどの省令改正等を昨年行ったところであり、労働基準行政においても、医療行政と連携しながら、労務管理面での医療機関への支援を引き続き進めてまいります。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」については、年内の見直し案のとりまとめに向け、関係公労使に引き続き御議論いただき、検討を進めてまいります。
裁量労働制の検討につきましては、昨年より検討会を開催しており、裁量労働制が制度の趣旨に沿って、労使双方に有益な制度として活用されるよう、実態調査の結果や、労使の現場での運用状況等を踏まえ、丁寧に検討を進めてまいります。
また、現在、無期転換ルールの見直しと多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化等について検討会を開催しているところであり、その取りまとめ結果を踏まえ、労働政策審議会において、検討を進めてまいります。
第三に、労災補償における対応についてです。
昨年九月、脳・心臓疾患の労災補償における認定基準を改正したところです。また、精神障害の認定基準については、昨年十二月に検討会で議論を開始したところです。これらを踏まえ、引き続き適切な労災認定を行ってまいります。
フリーランスの方に対する労災保険の適用については、労災保険特別加入制度の対象範囲の見直し等に向けて引き続き議論を行ってまいります。
昨年六月に成立した「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」については、給付金の支給等に必要な予算が補正予算により確保されたところであり、その施行に向けた準備を着実に行ってまいります。
第四に、最低賃金についてです。
最低賃金の引上げに当たっては、中小企業が賃上げしやすい環境整備が重要です。このため、政府としては、生産性向上等に取り組む中小企業への支援強化、下請取引の適正化、金融支援等、賃上げしやすい環境整備に一層取り組みつつ、最低賃金については、より早期に全国加重平均一〇〇〇円とすることを目指していきます。
第五に、労働安全衛生対策についてです。
近年の労働災害による死亡者数は、長期的に減少しているものの、労働災害による休業四日以上の死傷者数は、高年齢労働者の増加やサービス産業における高年齢者の就労の拡大等の就業構造の変化等により、増加傾向にあります。
労働災害が増加している業種への対策のほか、高齢者の労働災害を防止するための取組の推進を図ることなどにより、労働災害防止対策に取り組んでまいります。
以上の施策を中心に、働く方々にとってより良い労働環境を整備できるよう、職員一同全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後とも、一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。