Ⅳ 特殊健康診断と健康管理
1 特殊健康診断
チェーンソー等を使用する労働者については、雇入れの際、当該業務への配置替の際及び6月以内ごとに1回、定期に、特殊健康診断を行うこと、とされています。(昭和45年2月28日付け労働省労働基準局長通達「チェーンソー使用に伴う振動障害の予防について」(昭和48年10月18日改正)による。)
このように、年2回の特殊健康診断を行うのは、振動障害の早期発見、早期治療をねらいとした健康管理を適正に行うためであります。 特殊健康診断は、第1次健康診断と第2次健康診断とで構成されており、第1次健診の結果、医師が必要と認めた者については、第2次健診を行うこと、とされています。
また、振動障害の特殊健康診断の診断項目は、職歴調査、自覚症状調査、問診、視診、触診、運動機能検査、血圧等、抹消循環機能検査及び抹消神経機能検査となっています。(昭和50年10月20日付け労働省労働基準局長通達「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」による。)
チェーンソー等振動工具の使用者の多くは、山村に居住していることから、特殊健康診断を受けるうえで障害が多いと思われますが、必ず定期的に受けるようにして下さい。
2 健康管理
特殊健康診断は、これを単に受けるだけでなく、診断結果に基づき適切な健康管理を行うことによって、はじめて生かされるものです。
例えば、診断の結果、なんらかの振動障害の症状が認められるにもかかわらず、従前と変わりなく仕事をすれば、症状をさらに悪化させることになりかねません。
労働省では、昭和50年10月20日付け労働省労働基準局長通達「チェーンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」により、診断結果に基づく事後措置を「チェーンソー取扱い業務に係る健康管理指針」として示し、これを守るように指導しています。
なお、高齢者については、一般に振動業務への適応性が低いと考えられるので、新たにチェーンソー等振動工具の取扱い業務につかせることは望ましくありません。また、現に従事している高齢者については、チェーンソー等振動工具の操作時間を短縮することが望ましいと指導されています。
また、抹消循環障害、心臓疾患、高度の高血圧、中枢神経及び末梢神経系の障害、重度の運動障害のある者は、チェーンソー等振動工具取扱い業務に就かせることは望ましくないと指導されています。
チェーンソー取扱い業務に係る健康管理指針
(昭和50年10月20日付け基発第610号通達)抜すい
健康管理区分 | 事後措置 |
管理A 問診、視診、触診において振動の影響と見られる自・他覚症状が認められないか、又は、認められても一時的であり、かつ、抹消循環機能検査、抹消神経機能検査及び筋力・筋運動検査等の所見(以下「検査所見」という。)もおおむね正常の範囲にあり、振動ばく露歴に係る調査結果(以下「調査結果」という。)と併せ、総合的にみて振動による障害がほとんどないと認められるもの。 |
「チェーンソー取扱い作業指針」(以下「作業指針」という。)に従ってチェーンソーを取扱う業務に従事して差し支えない。 |
管理B
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管理C 振動による影響とみられるレイノー現象、しびれ、痛み、こわばり、その他の自・他覚症状があり、かつ、問診、視診、触診の所見及び検査所見並びに調査結果と併せ総合的にみて振動による障害が明らかであって、療養を必要とすると認められるもの。 |
チェーンソーの取扱い業務に従事することは避け、医師の指示により必要な療養をうけること。 |