高年齢化と労働災害
(1)加齢にともなう労働災害の変化
- 林業における総災害件数は減少傾向にあるが、60歳代はほとんど変化がないのに対し、50歳代、40歳代は減少している。
- 災害件数比率は平成3年までは50歳代の災害が多かったが、その後60歳代の災害比率が高くなっている。
- 総死亡災害件数は減少傾向にあるが、経年的には凹凸がある。60歳代では増加傾向だが、50歳代や40歳代は減少傾向。
- 死亡災害件数比率では、平成4年あたりから50歳代と60歳代の災害比率が逆転し、60歳代が高くなってきている。
- 死傷千人率は若年槽、高年齢層で高い。
(2)加齢にともなう労働災害の変化
1)年齢階と作業区分
- 30歳代では伐倒、造材、集材機作業での災害発生件数が多い。
- 40歳代では伐倒、造材、集材機作業及びつる切り・除伐作業での災害発生件数が多い。
- 50歳代では伐倒、造材、集材機作業及び下刈り、つる切り・除伐作業での災害発生件数が多い。
- 年齢が高くなるにつれて伐出作業のみならず保育作業での発生件数が多くなる。
2)年齢階と単位作業
- 20歳代~40歳代において最も災害頻度が高い単位作業は枝払い。
- 50歳代において最も災害頻度が高い単位作業は下刈り。
3)年齢階と事故の型
- 転倒による事故の発生比率は高年齢になるにつれて上昇し、とくに50歳代から60歳代にかけての上昇率が高い。
- 切れ・こすれによる発生比率は若い年齢層での発生比率が高く、高年齢になるにつれて低下する。
- 飛来・落下については年齢による差はない。
☆高年齢層→転倒事故多発→身体諸機能の低下によるものか?
→切れ・こすれ事故低下 →高技能、安全知識の豊かさによるものか?
4)年齢階と人的要因
- 「作業姿勢が不適切」とする不安全行動要因は若い年齢層で比較的高く、加齢にともない低下する。
- 「習慣で作業をしていた」とする不安全行動要因は中高年齢者の方が少し高い。