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Ⅰ 振動障害及びその予防に関する知識

1 振動障害の原因及び症状

1-1 振動障害の原因

  • 振動障害は、チェーンソー、刈払機など振動工具の使用により発生する手指等の抹消循環障害、末梢神経障害及び運動器(骨、関節系)障害の3障害を総称しています。
  • 振動障害は、機械器具等から発生する振動を主な要因として、これに作業時間などの作業要因、寒冷などの環境要因、日常生活などの要因が複雑に作用して発症するといわれています。
  • 特に、林業における振動障害として問題にされてきたのがレイノー現象(蒼白現象)です。この現象は、振動へのばく露が続き、寒さを感じるときに現れやすいとされています。刈払機等の機械から伝えられる振動のうち、低周波振動は骨・関節に、また、高周波振動は循環器系により多くの割合で影響するといわれています。

1-2 振動障害の症状

  • 振動障害は、手指や腕にしびれ、冷え、こわばりなどの症状が、間けつ的、又は持続的に現れ、さらに、レイノー現象(蒼白現象)を主な症状とする抹消循環障害、末梢神経障害、運動機能障害などが認められる症状とされています。
  • 国際労働機関(ILO)(1980年)では、振動障害「振動による疾病(筋肉、腱、骨、関節あるいは抹消血管、末梢神経の障害)」と定義しており、国際労働衛生協会(ICOH)のロンドン会議(1983年3月)では、振動障害は、「すべての症状が抹消性であり、循環障害(局所的な指の蒼白化、白指を伴う血管攣縮)、感覚・運動神経障害(しびれ、手指の微細運動障害など)、それに筋・骨格系の障害(筋、骨、関節疾患)」ということで合意されています。

1-3 振動障害予防対策の骨子

  • 振動障害は、多くの症状がからみ合い複雑な疾病ですが、症状が重くなると、回復が難しいとされています。
    したがって、振動障害予防対策としては、適正な工具の選定、操作時間の管理、作業方法の適正化、作業環境の整備、特殊健康診断による振動障害の早期発見を含めた健康管理など予防対策はもちろん、適切な治療対策などが大切です。
  • 振動障害予防対策としては、労働省通達「振動障害総合対策の推進について」(平成5年3月31日付け基発第203号)等により示されています。