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第2編 林業 第2章 チェーンソーによる作業 第2節 チェーンソーによる伐木、造材作業(第44条‐第69条)

第1款 通 則

(就業の制限)
第44条
会員は、次の各号に掲げる業務(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第36条第8号)を行う場合には、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号。以下「特別教育規程」という。)第10条に定める特別教育を修了した者(以下「安衛則第36条第8号に係る特別教育修了者」という。)でなければ、その業務に就かせてはならない。
  • (1) 胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐木の業務
  • (2) 胸高直径が20センチメートル以上であって、かつ、重心が著しく偏している立木の伐木の業務
  • (3) つり切りその他特殊な方法による伐木の業務
  • (4) かかり木であって、かかっている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務
  1. 2 会員は、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(前項に掲げる業務を除く。)(安衛則第36条第8号の2)を行う場合には、特別教育規程第10条の2に定める特別教育を修了した者でなければ、その業務に就かせてはならない。
(作業用具の点検等)
第45条
会員は、おの、なた等の作業用具を用いて作業を行う場合には、作業者に、それらの異常の有無を点検させなければならない。
  1. 2 会員は、点検により異常が認められたときは、直ちに補修、その他必要な措置を講じなければならない。
(作業用具及び機械の刃部の覆い)
第46条
会員は、作業者に、おの、のこぎり、チェーンソー等の作業用具及び機械を運搬させる場合には、作業用具及び機械の刃部に覆いを付けさせなければならない。
(足元の整理)
第47条
会員は、チェーンソーによる伐木又は造材の作業を行う場合には、作業者に安定した姿勢で作業ができるよう足元を整えさせなければならない。
(山割り)
第48条
会員は、山割りをする場合には、原木が転落し、又は滑ることによる危害を防止するため、地形等によりやむを得ない場合を除き、縦割りとしなければならない。
(上下作業の禁止)
第49条
会員は、作業中原木が転落し、又は滑ることによって危険が予想される斜面の下に作業者を立ち入らせてはならない。
(近接作業の禁止)
第50条
会員は、立木を伐倒する場合は、近傍の他の作業者を立木の樹高の2倍以上離れさせなければならない。
  1. 2 会員は、近接して伐倒作業を行う場合は、高い方の樹高の2.5倍以上離れて作業させなければならない。
     また、それぞれの伐倒者の退避場所の選定の際には、前項の立入禁止区域内に入らないように、退避場所を確保させなければならない。
(危険標識の設置)
第51条
会員は、伐木又は造材の作業を行う場合には、危険が予想される通路、搬出路等の近くに作業中等の危険標識を設けなければならない。
(悪天候時の作業の禁止)
第52条
会員は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため危険が予想される場合には、作業者に、伐木又は造材の作業を行わせてはならない。

第2款 チェーンソーによる伐木作業

(指示を要する伐木)
第53条
会員は、次の各号に掲げる業務に就かせる場合には、安衛則第36条第8号に係る特別教育修了者のうちから技能を選考のうえ、会員が指名した者に、伐倒による危害を防止するための必要な事項を指示させなければならない。
  • (1) 控索を使用して行う伐木の業務
  • (2) 安全帯を使用して行う伐木の業務
  • (3) 伐倒の際に危害を及ぼすおそれのあるあばれ木又は空洞木の伐木の業務
  • (4) 重心が伐倒方向に対して著しく偏在している木の伐木の業務
  • (5) かかり木となるおそれのある木の伐木の業務
  • (6) かかり木の処理の業務
(かかり木の処理)
第54条
会員は、かかり木が生じた場合には、作業者に当該かかり木を速やかに処理させるとともに、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
  • (1) 当該かかり木の処理の作業について安全な作業をさせるため次のアからオまでの事項を行わせること。
    • ア 当該かかり木の径級、状況、作業場所及び周囲の地形等の状況を確認すること。
    • イ 当該かかり木が生じた後速やかに、当該かかり木により危険を生ずるおそれのある場所から安全に退避できる退避場所を選定すること。
    • ウ 当該かかり木の処理の作業の開始前又は開始後において、当該かかり木がはずれ始め、作業者に危険が生ずるおそれがある場合、イで選定した退避場所に作業者を退避させること。
    • エ かかり木が生じた後、やむを得ず当該かかり木を一時的に放置する場合を除き、当該かかり木の処理の作業を終えるまでの間、当該かかり木の状況について常に注意を払うこと。
    • オ やむを得ずかかり木を一時的に放置する場合、当該かかり木による危険が生ずるおそれがある場所に作業者等が近づかないよう、標識の掲示、テープを回すこと等の立入禁止の措置を講じさせること。
  • (2) 作業は、できるだけ2人以上の組となるように調整すること。
  • (3) 機械器具等は、次のアからウまでに掲げる場合に応じて使用し、安全な作業方法により処理すること。
    • ア 当該かかり木の胸高直径が20センチメートル未満であって、かつ、当該かかり木が容易に外れることが予想される場合は、木回し、フェリングレバー、ターニングストラップ、ロープ等を使用して、かかり木を外すこと。
    • イ 当該かかり木の胸高直径が20センチメートル以上である場合又はかかり木が容易に外れないことが予想される場合は、けん引具等を使用し、当該かかり木を外すこと。
    • ウ 車両系木材伐出機械(伐木等機械、走行集材機械及び架線集材機械(機械集材装置又は簡易架線集材装置の集材機として用いている場合を除く。)をいう。以下同じ。)、機械集材装置、簡易架線集材装置等を使用できる場合には、原則として、これらを使用して、当該かかり木を外すこと。
  1. 2 作業者はかかり木の処理について、次のアからオまでに掲げる事項を行ってはならない。
    • ア かかられている木を伐倒することにより、かかり木全体を倒すこと。
    • イ 他の立木を伐倒し、かかり木に激突させることにより、かかり木を外すこと。
    • ウ かかり木を元玉切りし、地面等に落下させることにより、かかり木を外すこと。
    • エ かかり木を肩に担ぎ、移動すること等により、かかり木を外すこと。
    • オ かかられている木に上り、かかり木又はかかられている木の枝条を切り落とすこと等により、かかり木を外すこと。
(伐倒作業前の準備)
第55条
会員は、伐倒作業に当たり、作業者に次の事項について事前に確認させ、必要な措置を行った後に伐倒させなければならない。
  • (1) 林道、歩道等の通行路及び周囲の作業者の位置、地形、転石、風向、風速等を確認すること。
  • (2) 立木の樹種、重心、つるがらみや枝がらみの状態、頭上に落下しそうな枯損木、枯れ枝等の有無を確認すること。
  • (3) 跳ね返りや落下、倒木等による危険の可能性のある立木、枝、枯損木等については事前に確認すること。
  • (4) 伐倒方向を確認すること。なお、伐倒方向は、斜面下方に対し、45度から105度までの方向を原則とすること。
  • (5) かん木、枝条、ササ、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを確認すること。
(枝がらみの木、つるがらみの木の伐倒)
第56条
会員は、枝がらみの木を伐倒する場合には、作業者に、できる限り伐倒前にからんでいる枝を取り除かせなければならない。取り除くことができない場合には、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 枝がらみの木が斜面の上下に位置しているときは、下方の木から伐倒すること。
  • (2) 枝がらみの木が斜面の左右に位置しているときは、小さい方の木から、枝がらみの反対の方向へ伐倒すること。
  1. 2 会員は、つるがらみの木を伐倒する場合には、作業者に、できる限り伐倒前につる類を取り除かせなければならない。事前に取り除くことができない場合には、同じ方向に同時に伐倒することとし、まず、伐倒方向の側にある木の受け口を大きめに作り、追い口を切り、くさびを打って重心を移動させておき、次に他の木を、先にくさびを打ったままにしておいた木の方向に倒し、同時に伐倒させなければならない。
(障害物の取り除き)
第57条
会員は、伐木の作業を行う場合には、作業者に、それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、ささ、浮石等で伐倒等の際に危害を受けるおそれのあるものを、あらかじめ、取り除かせなければならない。
(追いづる切り)
第58条
会員は、偏心の程度が著しい立木又は裂けやすい木では、追いづる切りにより伐倒させなければならない。
(退避場所の選定)
第59条
会員は、伐木の作業を行う場合には、作業者に、あらかじめ、退避場所を選定させ、かつ、伐倒の際に迅速に退避させなければならない。
  1. 2 会員は、前項の退避場所は、伐倒方向の反対側で、伐倒木から十分な距離があり、かつ、立木の陰等の安全なところでなければならない。ただし、上方向に伐倒する場合、その他やむを得ない場合は、退避場所を伐倒方向の横方向とすることができる。
(退避路の整理)
第60条
会員は、前条の退避場所に通ずる退避路について、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 枝条、ささ等で退避の際に危害を及ぼすおそれがあるものを取り除くこと。
  • (2) 積雪がある場合には、雪を十分踏み固め、退避が円滑にできるようにすること。
(受け口及び追い口)
第61条
会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、作業者に、それぞれの立木について、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 受け口の深さは、伐根直径(根張りの部分を除いて算出するものとする。)の4分の1以上とすること。ただし、胸高直径が70センチメートル以上であるときは、3分の1以上とすること。
  • (2) 受け口の下切り面と斜め切り面とのなす角度は、30度以上45度以下とすること。
    受け口の下切りと斜め切りの終わりの部分を一致させること。
  • (3) 追い口の位置は、受け口の高さの下から3分の2程度の高さとし、水平に切り込むこと。
  • (4) 追い口切りの切り込みの深さは、つるの幅が伐根直径の10分の1程度残るようにし、切り込み過ぎないこと。
(くさびの使用)
第62条
会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合において、伐倒しようとする立木の重心が偏しているもの、あるいは、胸高直径が20センチメートル以上のものを伐倒しようとするときは、作業者に、同一形状かつ同じ厚さのものを組みにして、くさびを2本以上用いること等立木が確実に伐倒方向に倒れるような措置を講じさせなければならない。
  1. 2 会員は、作業者に第1項の作業を行わせる場合には、次の各号に掲げる事項を行わせるよう努めなければならない。
  • (1) くさびは立木の大きさに応じて本数を増やすこと。
  • (2) くさびの打ち込み時のずれ及び凍結時の抜けの防止のため、表面を滑りにくく加工したくさびを使用すること。
(伐倒合図)
第63条
会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、伐倒について予備合図、本合図、終了合図を定め、かつ、作業者に、これらの合図を周知させなければならない。
(合図確認と指差し呼称)
第64条
会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 予備合図を行うこと。
  • (2) 他の作業者が退避したことを応答合図により確認すること。
  • (3) 本合図及び指差し呼称による確認を行った後、伐倒者以外の作業者が、立入禁止区域より確実に退避したことを確認してから伐倒すること。
  • (4) 伐倒を完了した後、終了合図をすること。

第3款 チェーンソーによる造材作業

(作業者の指名)
第65条
会員は、安衛則第36条第8号に係る特別教育修了者のうちから技能を選考のうえ、会員が指名した者でなければ風雪等により転倒した木、又は折損した木であって、乱積(やがら)になったものの造材の業務に就かせてはならない。
(原木の転落防止)
第66条
会員は、造材の作業を行う場合には、作業者に、造材しようとする原木が転落する危険がないかを点検させ、転落する危険が予想されるときは、杭止め等の措置を講じさせなければならない。
  1. 2 会員は、玉切りした原木が転落するおそれがある場合には、作業者に、その原木を安定した位置に移すこと等の措置を講じさせなければならない。
(障害物の取り除き)
第67条
会員は、造材の作業を行う場合には、作業者に、おの、のこぎり、チェーンソー等の操作を阻害するおそれのあるかん木、枝条等を、あらかじめ、取り除かせなければならない。
(作業者の位置等)
第68条
会員は、斜面で玉切りの作業を行う場合において、原木を切り落とすときは、作業者に、原木の上方で作業を行わせ、かつ、作業者に、足先を原木、チェーンソーの下に入れさせてはならない。
(枝払い作業)
第69条
会員は、枝払いの作業を行う場合には、作業者に、地面に接して原木を支えている枝は、玉切りをし、原木を安定させた後に、切り払わせなければならない。
  1. 2 会員は、複数の作業者に、同時に同一の原木の枝払い作業をさせてはならない。