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第2編 林業 第2章 チェーンソーによる作業 第2節 チェーンソーによる伐木造材作業の通則(第45条‐第58条)

第1款 通則

(就業の制限)
第45条
会員は、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第36条第8号)を行う場合には、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号。以下「特別教育規程」という。)第10条に定める特別教育を修了した者(以下「安衛則第36条第8号に係る特別教育修了者」という。)でなければ、その業務に就かせてはならない。
(伐木等指導者の指名及び職務)
第46条
会員は、会員事業場に第2項第1号に定める伐木等初級者がいる場合は、同項第2号に定める伐木等指導者を、伐木等初級者が所属する作業班ごとに指名し、第47条に定める事項を行わせなければならない。
2 伐木等初級者及び伐木等指導者とは次の者をいう。
  • (1)  伐木等初級者とは、安衛則第36条第8号の業務に係る特別教育修了者で、伐木等作業の業務に従事した期間が3年未満の者をいう。
  • (2) 伐木等指導者とは、安衛則第36条第8号の業務に係る特別教育を修了し、伐木等作業の業務に従事した期間が概ね8年以上で、伐木等初級者の指導ができる者のうち、会員が指名した者をいう。
(伐木等初級者に対する配慮)
第47条
会員は、第46条に定める伐木等初級者に対して、次に掲げる事項について配慮するよう努めること。
  • (1) 胸高直径が概ね40センチメートル未満の立木(以下「普通木」という。)の単独伐倒を行わせないように努めること。ただし、同一現場に所在する伐木等指導者の指導の下で行う場合はこの限りでない。
  • (2) 胸高直径が概ね40センチメートル以上の立木(以下「大径木」という。)の伐倒を行わせないように努めること。ただし、伐木等指導者の直接の指導の下で行う場合はこの限りでない。
  • (3) かかり木処理作業を単独で行わせないようにすること。伐木等初級者が単独で伐倒していた伐倒木がかかり木となった場合は、作業を中止させ、直ちに伐木等指導者の直接の指導の下で行わせること。伐木等指導者を呼びに行く場合等、伐木等初級者がかかり木未処理の現場を離れるときは、危険が生ずるおそれのある箇所には立ち入らせずに、その周囲にかかり木の存在を、縄張り、標識の設置等の措置により、明示させること。
  • (4) 第3節第3款に定める困難木の伐倒を行わせないように努めること。ただし、伐木等指導者の直接の指導の下で行う場合はこの限りでない。
2 会員は、前項第2号の大径木の伐倒について、伐木等作業の業務に従事した期間が概ね1年から2年までの伐木等初級者の技能が向上したと判断したときは、同号ただし書の規定にかかわらず、同一現場に所在する伐木等指導者の指導の下で、伐木等初級者による大径木の単独伐倒を行うことができるものとする。
(調査及び記録)
第48条
会員は、チェーンソーを用いて伐木造材作業を行う場合には、あらかじめ次の各号に掲げる事項を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
  • (1) 地形の状況、地質及び水はけの状況
  • (2) 埋設物及び架空線近接の状況
  • (3) 偏心木、片枝木、二又木、転倒木、欠頂木、空洞木、腐朽木、枝がらみ木、つるがらみ木、枯損木及び広葉樹の状況
  • (4) 下層植生の状況
  • (5) 緊急車両の走行経路及び携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
(調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント等の実施)
第49条
会員は、前条の伐木造材作業に係る調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント等を実施しなければならない。
(作業計画)
第50条
会員は、チェーンソーを用いて伐木造材作業を行う場合には、第48条の調査結果及び前条のリスクアセスメントの結果に適合し、かつ、次の各号に掲げる事項を含む作業計画を定め、当該作業計画に基づき作業を行わなければならない。
  • (1) 作業を行う場所、作業地の地形、地質、水はけの状況、埋設物及び架空線の近接の状況並びに既設の道路、林道及び作業道の状況
  • (2) 作業の方法(チェーンソー又は車両系木材伐出機械の使用の有無を含む。)、伐倒の方法、伐倒の順序、かかり木処理の作業方法及び困難木の伐倒方法
  • (3) 作業の安全対策として、退避場所の設定標示、立入禁止の設定標示、伐倒木、玉切材、枯損木等の転落又は滑動を防止するための措置及びその他安全対策
  • (4) 振動工具作業計画に基づく作業期間
  • (5) 緊急車両の走行経路、緊急連絡先及び携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
  • (6) 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送方法
  • (7) 調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント結果に基づくリスクの低減対策
2 会員は、前項の作業計画を定めたときは、当該作業計画を関係作業者に周知しなければならない。
(作業指揮者)
第51条
会員は、チェーンソーを用いて伐木造材作業を行う場合は、当該作業の指揮者を定め、その者に前条第一項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。
(作業用具の点検等)
第52条
会員は、おの、なた等の作業用具を用いて作業を行う場合には、作業者に、それらの異常の有無を点検させなければならない。
2 会員は、点検により異常が認められたときは、直ちに補修、その他必要な措置を講じなければならない。
(作業用具及び機械の刃部の覆い)
第53条
会員は、作業者に、おの、のこぎり、チェーンソー等の作業用具及び機械を運搬させる場合には、作業用具及び機械の刃部に覆いを付けさせなければならない。
(足元の整理)
第54条
会員は、チェーンソーによる伐木又は造材の作業を行う場合には、作業者に安定した姿勢で作業ができるよう足元を整えさせなければならない。
(山割り)
第55条
会員は、山割りをする場合には、原木が転落し、又は滑ることによる危害を防止するため、地形等によりやむを得ない場合を除き、縦割りとしなければならない。
(上下作業の禁止)
第56条
会員は、作業中原木が転落し、又は滑ることによって危険が予想される斜面の下に作業者を立ち入らせてはならない。
(危険標識の設置)
第57条
会員は、伐木又は造材の作業を行う場合には、危険が予想される通路、搬出路等の近くに作業中等の危険標識を設けなければならない。
(悪天候時の作業の禁止)
第58条
会員は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため危険が予想される場合には、作業者に、伐木又は造材の作業を行わせてはならない。