メニュー

災害事例研究 No.131 【木材製造業】

集塵用ダクトから煙が上がり、点検しようとダクトの中に入った作業者らが酸素欠乏症で死亡

 木材加工工場で、集塵機につながるダクトから煙が上がり、確認のためダクトに入った2人と、その後に救助のため入った1人が酸素欠乏症で意識を失い、動けなくなった。3人は約50分後に運び出されたが、病院で死亡が確認された。

災害の発生状況

 木材加工工場で、木材加工により生ずる木屑を集める集塵機につながるダクトの継ぎ目から煙が上がったので、被災者Aと被災者Bは点検のためダクト内に入り、その後、救助を求める声を聞いて入った被災者Cと合わせ3人が倒れた。
 木屑はダクト(直径約30cmから約80cm)を通って3基の集塵機に集められる構造になっており、AとBは集塵機とダクトとの接続部分で、Cは集塵機の中で倒れていた。
 何らかの原因で火がダクト内の木屑に燃え移り、二酸化炭素消火設備が作動したため、酸素濃度が低下したものと考えられる。
 Aらが倒れていた場所は、酸素濃度が空気中(約21%)の半分の10%程度で、3人は通常の作業着のままで酸素マスクなどはつけていなかった。
casestudy131_1

災害発生の原因

 二酸化炭素消火設備の設置が作業者に周知されておらず、作業者が点検等のためにダクト内に入っているのに、同設備が作動して二酸化炭素が噴出され、酸素濃度が低下し、酸素欠乏症となったものと考えられる

災害の防止対策

  1. 二酸化炭素消火設備を設置していることを関係作業者に周知し、設置した出入り口付近に、設置していることを知らせる表示板を表示すること。
  2. 集塵機内に通じる出入り口等に、関係者以外立入禁止の掲示及び施錠等を行うこと。
    casestudy131_2_
  3. 二酸化炭素消火設備の危険性について、定期的に安全衛生教育を実施すること。
  4. 二酸化炭素消火設備が作動したときの対処方法及び危険箇所への立入禁止措置等の対応マニュアルを作成し、関係作業者に周知徹底すること。
  5. 作業指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させること。
  6. 二酸化炭素消火設備の設置を行ったときは、リスクアセスメントを実施し、危険の洗出とその低減措置について関係作業者が共有しておくこと。
    casestudy131_4

(立入禁止)

第484条 会員は、酸素欠乏危険場所又はこれに隣接する場所で作業を行うときは、酸素欠乏危険作業に従事する作業者以外の作業者が当該酸素欠乏危険場所に立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

【説明】
設備に関する措置について
 (1)酸欠危険場所やその隣接場所には、立入禁止の表示を行いましょう。
 (2)酸欠危険作業を行う作業場所には、はしご、繊維ロープなどの避難用具を備え付けましょう。
 (3)酸欠危険場所に備える炭酸ガス消火器などには、転倒防止措置や誤作動防止措置を講じましょう。

(監視人等)

第485条 会員は、酸素欠乏危険作業に作業者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちにその旨を関係者に通報する者を置く等、異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。

【説明】
 人員点検・連絡体制について
 (1)作業場の入退時に、人員を点検しましょう。
 (2)酸欠危険作業場と、近接する作業場との間で連絡を取り合いましょう。
 (3)作業中、監視人等を配置しましょう。