災害事例研究 No.60 【木材製造業】
構造用集成材の製造工場において、ラミナ材の束のはい崩し作業中に作業者が下敷きになる
構造用集成材の製造工場において、集成材に加工するため、工場内にはい積みして仮置きしていたラミナ材(高さ2. 9m、数量は280枚程度)の束の梱包用ビニールラップと、縛っていた紐を外す作業中、ラミナ材の束の一部(約195枚、重量約250kg)が突然崩れ、その下敷きとなって死亡したものである。
災害発生の状況
- この会社には、ラミナ加工工場とそれを構造用集成材に製造する工場があり、災害はラミナ加工工場で発生した。
- 災害に係るラミナ材は、5枚合わせて角材として集成材を造るものであり、ラミナ材は3種類の大きさに分けて加工している。
- 災害発生の前日、ラミナ加工工場の機械をすべて停止させ、工場内にひとまとめにしてはい積みして保管していたラミナ材の全部を一旦工場の外に出して、長さ、厚さ、幅ごと分けてその種類ごとに紐で縛って束にし、さらに梱包用ビニールラップを掛けて順次工場内のラミナ加工工場の隅に積み上げる作業を行った。
この作業は、Aがフォークリフトを運転してラミナ加工工場内に運び、BとCが梱包用ビニールラップ掛けと紐で縛る作業に従事していた。 - この作業は午後6時過ぎまで行い、作業が終了した時点でラミナ材の束は、奥行方向に8列、横方向に3列であり、束の高さは一番奥の束は約3.5m、一番手前の束は約2.9mであった。ラミナ材の1束の枚数は特に決めてはおらず、ラミナ材の大きさが3種類あることから、大きさに応じ一束の枚数は多いもので約250枚、少ないもので約30枚程度であった。
- 被災当日午前中、Aはフォークリフトで原材料保管倉庫から原材料をモルダーに運ぶ作業を行いながら、合間をみて前日運んだラミナ材の束のうち手前から1~3列目の3列を再加工のため、ラミナ加工機械の脇にフォークリフトで移動した。
- 昼の休憩後、別工場にいた被災者は工場長の指示によりラミナ加工工場に入ったが、Aから、Aが当日午前中に運んで加工機械の脇にはい積みしたラミナ材の束3束の梱包用ビニールラップと紐を外すよう指示を受けてこの作業に着手した直後、ラミナ材約195枚(重量約250kg)が崩れてこのラミナ材の下敷きとなった。なお、ラミナ材が崩壊した状況を目撃した者はいない。
災害発生の原因
- はい積みしたラミナ材の束は、紐で1個所又は2個所縛ってあるだけで、ラミナ材の束が崩れないような十分な措置を講じていないこと。
- ラミナ材のはい積み作業に際し、ラミナ材の束とその上に載せるラミナ材の束との間に台木を2個所置いていたが、台木の大きさや設置方法が一定ではなく不安定な状態であったこと。
- ラミナ材のはい積み作業に関し、はい積みの高さの上限、はい積みの方法について具体的な定めはなく、作業者任せになっていたこと。
- フォークリフトの運転資格を有しない者にフォークリフトの運転業務及びラミナ材の束のはい積み作業を行わせていたことから、ラミナ材の束が不安定になっていたと思われること。
災害防止対策
- ラミナ材の束の数量、はい積みの高さ、はい積み作業方法を具体的に定め、作業者に周知を図ること。
- 積み上げたラミナ材の束の崩壊防止措置を講ずること。
- フォークリフトの運転は、有資格者に行わせること。
- ラミナ材の束の安定状況を常時点検すること。