災害事例研究 No.159 【木材製造業】
リングバーカの押さえローラーが下がってきて作業者が首を挟まれた
リングバーカ(丸太皮剥ぎ機)の運転中に、丸太の投入口付近に立ち入り、押さえローラーに首を挟まれたもの。
災害の発生状況
製材工場で、朝から作業者が一人でリングバーカ(丸太皮剥ぎ機)の操作室内で丸太の皮剥ぎ作業を遠隔操作により行っていた。
お昼前に、作業者がリングバーカの丸太の投入口でうつぶせの状態で押さえローラーに上半身を押さえつけられた状態で発見された。
リングバーカは運転状態で、丸太の投入口付近に樹皮が堆積していたほか、手前の丸太を送給するコンベヤーには丸太は滞留したままであった。
リングバーカの丸太の投入口や送給コンベヤーの周囲には、立ち入りを制限する柵等は設置されていなかった。
それらの状況から、リングバーカの丸太の投入口付近に堆積した樹皮を除去しようとして、上半身を入れたところ、センサーが誤って丸太であると感知し、押さえローラーが下降し、上半身がはさまれたものと推定される。
災害の発生原因
- リングバーカの運転を停止せず、危険箇所である丸太の投入口付近に立ち入ったこと。
- リングバーカの周囲に立ち入りを制限する柵等の物理的な措置が取られていなかったこと。
- リングバーカの丸太の投入口付近の樹皮の除去等の作業者に危険を及ぼすおそれのある作業を行う場合について、作業手順が定められていなかったこと。
災害の防止対策
- 機械の掃除、調整等で作業者に危険を及ぼすおそれのある箇所に立ち入らせるとき、機械の運転を停止させること。
(1) 特に、確実に停止させるためには、機械自体にインターロック機能(作業者を守るために機械が自動で停止する安全装置)を持たせることが有効である。
(2) 掃除、調整等のため運転を停止したときは、他の作業者が誤って起動させないように、調整中であることを起動装置へ表示等する。 - 運転中の機械の危険箇所に立ち入らないようにするには、立ち入りを禁止するだけでは足りない場合が多く、柵の設置など物理的な措置が必要となること。
- 清掃やトラブル時の作業手順を定め、その手順に従い行うように十分教育を行うこと。
〈 労働安全衛生規則 〉
(掃除等の場合の運転停止等)
第107条 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。
ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。