災害事例研究 No.76 【林業】
伐倒木が隣接木に接触、折れた幹が飛来して激突される
地ごしらえのためコナラの立木を伐採したところ、隣接しているコナラの立木に接触したことから、隣接木の幹が飛来して、伐倒木の近くにいた別の作業員の頭部に激突した。
災害の発生状況
朝から作業班4名により、傾斜角30度の場所で地ごしらえ作業をしていた。
班長がチェンソーにより広葉樹を伐倒、他の3名が伐倒された木を片付ける作業をしていた。3名の内1名はチェンソーにより片付け作業を行っていた。
午前10時40分頃、班長(伐採者)がコナラ立木Ⓐ(胸高直径26センチメートル)を伐採したところ、枝が触れていたコナラ立木Ⓑ(胸高直径18センチメートル、ⒶとⒷの幹どうしが接触し、一度伐倒方向にしなったため途中で折れ、反動で後ろ方向に飛来したものと推定される)の地上高約9メートルの箇所が折れて落ちてきて、Ⓐより2.6メートル後方に片付けのため待機していた被災者へ激突した。
被災者は頭や胸を強く打ち、病院に運ばれたが、午前12時頃、死亡した。
被災者はヘルメットを着用していた。なお、班長自身も死亡者よりⒶに近い場所でⒷに激突されており左足腓骨亀裂骨折となっており、重大災害の可能性も十分あった。
災害発生の原因
- 立入禁止区域内に、他の作業者がいたにも関わらず、伐倒の合図をせず伐倒したこと。
- 上方確認をしなかったこと。
- 作業者が目立つ服装をしていなかったため、作業者同士の位置が分かりにくかったこと。
災害の防止対策
- 立入禁止区域内に他の作業者がいないことを確認するとともに、予備の合図を行ってから伐倒作業に入ること。
- 伐倒前に上方確認を必ず行い伐倒木と隣接木の幹と枝が絡んでいるのに対応した作業方法を選ぶこと。
- 作業者は蛍光色など目立つ服装を着用すること。