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災害事例研究 No.132 【林業】

ワイヤロープで移動式クレーンと伐倒する木を連結して伐倒したところ、倒れた勢いで移動式クレーンが引っ張られて、被災者がガードレールとの間に挟まれた

 伐倒木の滑落を防止するためにワイヤロープで移動式クレーンと伐倒しようとする木を連結して伐倒したときに、伐倒木が倒れた勢いで移動式クレーンの車体が引っ張られ、移動式クレーンを操作していた被災者が道路のガードレールと車体との間に胸部を挟まれたもの。

災害の発生状況

 作業者5名で支障木(スギ60年生、胸高直径約45cm)2本の伐倒作業に着手した。
 1本目は、伐倒木の斜面上方の一般道に移動式クレーン(トラックにクレーンを装備した車両、吊り上げ荷重2.93トン)を停車させ、伐倒木が斜面下方向に滑落しないように、伐倒しようとする木に玉掛け用のワイヤロープを巻いて、移動式クレーンのフックに掛けて連結し、伐倒木を斜面下方向に伐倒した。
 伐倒した後、移動式クレーンを約30cm前方に移動させ、伐倒木を荷台に引き上げて積み込んだ。
 次に、移動式クレーンはそのままの位置で、2本目の伐倒に取りかかり、1本目の伐倒と同じように、伐倒しようとする木と移動式クレーンを連結して、斜面下方向に伐倒したところ、伐倒木が地面につく前に移動式クレーンの巻上げワイヤロープが一杯となってしまい引っ張られた車体が斜面側に傾いた。
 このため、車体の斜面側で移動式クレーンの操作をしていた被災者が、道路の斜面側のガードレールと車体の間に胸部を挟まれた。

災害発生の原因

 移動式クレーンを用いて、傾斜地での伐倒方向の規制を行おうとして、移動式クレーンと伐倒しようとする木をワイヤロープで連結して伐倒の作業を行ったこと。
casestudy132_1

災害の防止対策

 伐倒方向の規制を行う場合には、伐倒しようとする木と他の立木や根株等とをワイヤロープ等を使用して連結させてけん引具を用いて伐倒すること。この場合、受け口は大きめに作ること。
 なお、引っ張る方向を変える必要がある場合はガイドブロックを使用すること(下図参照)
casestudy132_2

(参考)

① 移動式クレーンは、その定格荷重を超えて使用してはならないこと。
② 地盤が軟弱であること等により移動式クレーンが転倒するおそれのある場所では、移動式クレーンを用いて作業を行ってはならないこと。