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災害事例研究 No.145 【林業】

竹の伐採作業中、枯れ木が倒れて作業者に激突

 被災者が竹林の竹を伐倒したところ、竹に寄りかかっていた枯れ木が伐倒した竹とともに倒れ、枯れ木の下敷きになった。

災害の発生状況

 被災者を含む作業者数人で、民家の裏山の皆伐作業をしていたところ、民家の所有者から作業場所に隣接する竹林の除去を依頼されたため、被災者は1人でチェーンソーを使用して竹林の伐倒を行っていた。
 その竹林には、密生した竹の他に枯れた木も含め十数本の雑木があった。
 被災者が雑木の周囲の竹を伐倒したところ、枯れた雑木(胸高直径18cm、樹高12m)が竹に寄りかかっていたため、竹を伐倒したことにより、被災者に倒れて激突し、その下敷きとなった。
 倒れた雑木は根元が腐って、隣接する竹に寄りかかった状態になっており、竹を伐倒したことで支えを失い倒れたもの。
 竹林には倒れた枯れた雑木以外にも、枯れた状態で倒れることなく立っている雑木が数本あった。
 なお、被災者を含む作業者全員が、チェーンソー業務(労働安全衛生規則第36条第8号)に係る特別教育は、補講も含め修了していた。

災害発生の原因

  1. 伐倒作業を行う前に、事前調査や作業計画の作成をしていなかったために、枯れ木の存在等を含む周囲の状況を確認していなかったこと。
  2. 枯れて根元の腐った雑木が竹に寄りかかっていたことに気が付かず、周囲の竹を伐倒したこと。

災害の防止対策

  1. 伐倒作業を行う前に、枯れ木の状態など枯れ木の存在等周囲の状況を確認したうえで、適切な事前調査を踏まえ、リスクアセスメントを行うとともに、作業計画を作成して作業手順を決定し実施すること。
  2. 竹に寄りかかった枯れ木等がある場合は、事前に枯れ木の処理を行うか、竹の伐倒による枯れ木の転倒を防止する等の措置を行うこと。

その他

 里山には、竹が繁殖している箇所が多く、竹が密生することで、その場所にある雑木が枯れて竹に寄りかかった状態のものが多数散見される。また、植林した山林でも著しく竹が繁茂しているものも見受けられる。
 また、竹が密生していると、枯れた雑木等の存在に気が付かず、そのまま竹を伐倒すれば、今回のような災害が発生することが懸念されるので、適切な事前調査及び作業計画の作成が必要である。
casestudy145

〈労働安全衛生規則〉

(伐木作業における危険の防止)
第477条 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による作業を除く。以下同じ。)を行うときは、立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木について、次の事項を行わせなければならない。
一 略
二  かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除くこと
三 略
2 略

〈災防規程〉

(伐倒作業前の準備)
第55条 会員は、伐倒作業に当たり、作業者に次の事項について事前に確認させ、必要な措置を行った後に伐倒させなければならない。
(1) 略
(2) 立木の樹種、重心、つるがらみや枝がらみの状態、頭上に落下しそうな枯損木、枯れ枝等の有無を確認すること
(3)~(5) 略